道重さゆみちゃんがアイドルを卒業するというのは、人類最高の美少女をこちら側にとどめていたモラトリアム期間が終わるということであり、これからはリア充に引き渡されて乱交パーティーをやるということだから、11月26日は終末の日だったわけである。横浜アリーナのチケットは購入していたが、当日になると行きたくなかった。これ以上アイドルの轢死体を見せられるのはわたしの自我が耐えられないからである。とはいえ、チケットを無駄にするのもどうかと思い、なんとか会場に辿り着いたわけである。いつも通り女子のファンが多く、半分くらいは若い女の子で、それ以外はオッサンという客層である。ハロプロらしい運営の悪さで開演まであと10分くらいのところでようやく大半の人が着席できるというあわただしい状態の中、公演は予定通りの時間に開始された。前半はいつも通りであり、わたしは後半の展開を案じていたわけである。アイドルの検屍をするのは何度目であろうと考えつつ、今ひとつ入り込めなかった。石がパンに変わらないという問題を確認させられるわけである。「カラマーゾフの兄弟」でキリストはこの問題について沈黙を守ったが、それが最高の賢明さなのである。まともに答えたら、石がパンに変わるわけが無く、わたしの男根が道重さゆみちゃんの陰部に入るということはない。奇跡は存在せず、穢土にいるわれわれが超越的な美に触れることは出来ないという当たり前の事実である。だが、結論から言うと、道重さゆみちゃんはキリストと互角の賢明さを持ち合わせていたようで、今後の問題についてはまったく触れず、ファンタジーの余韻を遺した。そこに大きく舵を切ったのは、道重さゆみちゃんが積年の想い人である鞘師里保とはじめて唇を重ね合わせた場面である。今まで未遂はあったが既遂ははじめてのはずである。これによって恬淡とした空気が破られ、ドラスティックに場面が転換したのである。そして最後の方で、個々のメンバーが道重さゆみちゃんに挨拶をする場面。鞘師里保が「わたしは今まで道重さんへの感情表現が苦手でした」と切り出した後、「わたしは本当は道重さんに嫉妬してたんです」と言い、最後は情熱的に「わたしは道重さんが大好きです」と言って抱きつく。おそらく会場が最も盛り上がった瞬間であろうと思われる。その後は生田衣梨奈だったのだが、道重さゃみちゃんが「よりによって生田」と言った後、ステージの照明を落としてもらう。泣き顔は見せないと言っていたので、泣き崩れるようなことになったら照明を落とすことになっていたのだ。数分待った後に再開し、生田とは淡々とした挨拶を終える。アンコール後の最後のMCで道重さゆみちゃんは「(他にもっと歌やダンスがうまいアイドルがいるのに)さゆみのファンは変な人が多いんですよ」となぜか同じ話を三回繰り返す。そして正真正銘の最後の曲は「Happy大作戦」で、これはハッピーエンドに似合うベストチョイスだったと思う。とりあえず、道重さゆみちゃんと鞘師の百合関係でまとめてくれたということで、ひとまず絶望は回避されたわけである。これで石がパンに変わるわけではないのだが、奇跡や希望への回路が無惨に断ち切られるという惨劇は回避した。道重さゆみちゃんは小学校の算数で0点を取ったこともあり、知力はあやしいが、いろいろと考えてから行動する賢者としての気質があるから、ありもしない奇跡を信じさせるという正統派アイドルの黙契は守ったと言えるし、ディストピアで蹌踉し、空閨を託っているわれわれに希望は残したのである。これから先のことは杳として知れないが、ひとまずわれわれは「Happy大作戦」をヘビロテすることで、道重さゆみちゃんと鞘師里保の百合を反芻し、この人生の生き難さに耐えることが出来るであろう。







スポンサードリンク

最近の記事
月別アーカイブ
カテゴリー
リンク
スポンサードリンク
RSSフィード
プロフィール

Author:ukdata
FC2ブログへようこそ!

katja1945uk-jp■yahoo.co.jp http://twitter.com/ukrss
あわせて読みたい
あわせて読みたいブログパーツ
アクセスランキング