2014年11月27日01時17分
12月の衆院選に党勢復活をかける民主党が、九州各地で態勢を整えられずにいる。候補を1人も立てられない県もあり、民主が安倍政権への対決姿勢を示しても、有権者が選挙区で同党候補を選べないケースが相次ぐ可能性もある。
■熊本
「有権者に選択肢を示せず、申し訳ないと思っている」。民主熊本県連代表の鎌田聡県議は25日に記者会見し、県内5選挙区すべてで独自候補の擁立を断念したことを明らかにした。1998年の結党以来6回目となる衆院選で初めての事態だ。鎌田氏は「不意打ち的な解散に対応できなかったのは極めて残念だが、見送らざるを得ない」と話した。
県連は「党の存在意義を出すためにも(独自候補が)ゼロじゃいかん」(鎌田氏)と、熊本2区と3区で候補を立てる考えだった。2012年の前回衆院選でみんなの党から立候補した本田顕子氏や、前参院議員の松野信夫氏らに打診したが、固辞されたという。
「野党共闘」も影響した。熊本1区では維新前職の松野頼久氏に協力することを約束。5区では社民の立候補予定者を支持する方針を決めた。鎌田氏は野党共闘と比例区に全力を注ぐとするが、県連幹事長の上田芳裕・熊本市議は「票は人に入れるものなのに、人がいない」と戸惑う。別の県連幹部からは、こんな冷めた声も漏れる。「党本部も『民主の弱い熊本で無理に出さなくていい』と言っている。わざわざ負け戦に出る理由もない」
■鹿児島
急な解散に、民主のほかの県連でも準備が追いついていない。鹿児島県では元職2人が立候補を見送った。5選挙区のうち、民主が擁立するのは1区の元職、川内博史氏だけになりそうだ。県連幹事長の泉広明・前鹿児島市議は「解散は早くても来年と考えていた。唐突で準備する時間がない。安倍政権への反発を受け止める選択肢を示さないといけない時に申し訳ない」と話す。
前回衆院選では民主公認の3人が落選し、比例復活もかなわなかった。その一人、打越明司氏は今回の解散当日、「解散総選挙の意義を見いだすことができない」と不出馬を表明。前回衆院選と、昨年の参院選で落選した元職の皆吉稲生氏も、立候補を見送った。
■宮崎
宮崎2区では民主は00年以来、独自候補を立て続けたが、今回は断念する見込みだ。
2区内にある延岡市の民主系市議は、旭化成労組の支援もあって県内で最多の8人に上る。だが関係者によると、旭化成労組はすでに来春の統一地方選の準備に入っており、「ここに来て国政選挙か」との声も出たという。
それでも県連は、県内3選挙区すべてでの擁立をめざしているが、決まっているのは1区の新顔、村尾英俊氏のみ。先週、本人に打診して急きょ決まった。県連幹事長の渡辺創県議は「安倍政権に対してNOといえる人物を探した」と話す。
■沖縄
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の同県名護市辺野古への移設計画をめぐり、衆院選でも「移設推進」と「移設阻止」の対決となる沖縄でも、民主の影は薄い。
沖縄県連は25日、今月の知事選で「移設阻止」を掲げて当選した翁長雄志・前那覇市長を支えるグループに、2、3区で足並みをそろえることを確認した。グループが擁立した前職2人を支援する方針で、「野党共闘」に乗っかる選択をした形だ。同じグループが支える4区の新顔の支援も調整している。
知事選では、前県連代表の喜納昌吉氏が出馬したが惨敗。民主の支持母体の連合沖縄は当選した翁長氏を推薦しており、県連と連合の関係にもひびが入った。県連は衆院選を通じ、連合や翁長氏側との関係修復を探っている。
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