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11月27日のまにら新聞から

高官脅迫

司法省矯正局長ら脅迫。刑務所内の薬物摘発強化で犯罪組織が報復狙う?

[ 752字|2014.11.27|社会 ]

 司法省矯正局長と同局幹部らがこのほど、犯罪組織とみられる複数のグループから、殺害をほのめかす脅迫を受けた。デリマ司法長官が25日、明らかにした。同局管轄のニュービリビッド刑務所(首都圏モンテンルパ市)で進められている違法薬物摘発に対する報復の可能性があるという。

 所内で取引されている覚せい剤など違法薬物の摘発は10月に入って強化され、これまでに覚せい剤約100グラムや銃器類が押収された。同月21日には、摘発専従班の男性刑務官が同市プタタンで射殺される事件も起きており、司法省は一連の高官脅迫との関連を調べる。

 脅迫の方法や詳しい内容は明らかにしなかった。

 ニュービリビッド刑務所には、覚せい剤密造・密売組織の幹部とされる中国人らが収監されている。隠し持った携帯電話や面会人を装った組織関係者らを介し、所外での薬物取引を指揮、管理しているとされる。また、ひそかに持ち込まれた違法薬物を収監者に流しているとみられる。

 所内の現状について、デリマ長官も25日、「薬物事件の収監者は依然、(携帯電話使用などの)特別待遇を享受し続け、薬物取引を仕切っている者もいる。一部の刑務官が違法行為にかかわり、黙認しているとの内部情報もある」との認識をあらためて示した。

 また、高官脅迫に関する指示が、収監者から出た可能性があるため、携帯電話などの没収徹底を指示したことを明らかにした。

 約1万5千人が収監されているフィリピン最大のニュービリビッド刑務所では、一部収監者の特別待遇や違法外出が再三問題になってきた。賄賂などと引き換えに特別待遇を受けようとする収監者と、「給与外収入」を得ようとする刑務官の癒着が背景にあり、刑務官の待遇が劇的に改善されない限り、根絶は難しいとされる。(酒井善彦)

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