手すき和紙の技術 無形文化遺産登録決まる11月27日 3時07分
世界各地の伝統文化や芸能を保護するユネスコ=国連教育科学文化機関は、日本の手すき和紙の技術が世代を超えて受け継がれ、地域社会のつながりを生んでいるとして無形文化遺産に登録することを決めました。
ユネスコは26日、日本時間の午後6時前からパリにある本部で委員会を開き、日本の手すき和紙の技術を無形文化遺産に登録するかどうか、審議を行いました。
その結果、「地域でこうぞの栽培を進めたり、教育現場で手すきの体験活動を行ったりして、世代を超えて伝統的な知識や技術が受け継がれ、地域社会のつながりを生んでいる」として、無形文化遺産に登録することを決めました。
登録が決まったのは、島根県の「石州半紙」、岐阜県の「本美濃紙」、それに埼玉県の「細川紙」で、いずれも「こうぞ」だけを原料に、伝統的な手すきで作られています。
このうち「石州半紙」は、5年前に無形文化遺産に登録されましたが、日本政府が和紙作りの技術を世界により強くアピールしようと、去年3件まとめて新たに提案していました。
登録の決定を受け文化庁の青柳正規長官は、「今回の登録により、和紙を保存してきた地域の人々の交流がさらに広がることを期待している。日本政府はこの技術の保存のために、今後も支援を続ける」と述べました。
ユネスコの無形文化遺産には去年、和食の食文化が登録されたのをはじめ、日本からこれまでに歌舞伎や能楽など22件が登録されています。
「和紙の文化を後世へ」首相がメッセージ
安倍総理大臣は「独特のやわらかみと温かみのある『和紙』は、障子や手紙など私たち日本人の暮らしに息づく文化であり、ユネスコ無形文化遺産に『日本の手すき和紙の技術』が登録されたことを心からうれしく思う。正倉院には今も8世紀初頭の『和紙』が伝わっており、匠たちが幾世代にもわたり受け継いできた『技』とともに、『和紙』の文化を後世へと大切に継承していきたい」というメッセージを出しました。