The Economist

ドイツ経済:止まりかけたエンジン

2014.11.27(木)  The Economist

(英エコノミスト誌 2014年11月22日号)

ドイツ経済は、欧州を危機から引っ張り上げられないほど弱くなっているのだろうか?

「世界には欧州の失われた10年を受け入れる余裕はない」とジェイコブ・ルー米財務長官は言う。最新の欧州の統計は、冴えない内容だった。第3四半期にユーロ圏は年率換算で0.6%しか成長しなかった。

 この停滞は一義的に、危機によって最も大きな打撃を受けた国々のせいではない。ギリシャ経済はどのユーロ圏諸国よりも速く成長しており、スペインとアイルランドは回復を遂げている。

疲弊した中核国、メルケル首相に批判の声

 むしろ、疲弊しているのは中核国だ。そして、欧州最大の経済国であるドイツ以上に疲弊している国はほとんどない。ドイツ経済は第2四半期に0.1%縮小した後、第3四半期に0.1%しか成長しなかった。

 ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、次第に高まる外国からの批判にさらされている。ドイツは内需と投資を刺激するためにもっと多くの手を打つべきだというのが、繰り返される批判の言葉だ。

 ドイツがそうした対策を講じれば、フランスやイタリアなどが厳しい構造改革を進める中で、これらの国の助けになるだろう。

 輸入の増加はドイツの経常黒字を減らすことにもなる。ドイツの経常黒字は世界最大規模であり、欧州内外の不均衡の原因となっている。また、内需を刺激すれば物価が上昇し、ユーロ圏がデフレに陥るのを防げるかもしれない。ユーロ圏の物価は10月に前年同月比で0.4%上昇し、インフレ率は欧州中央銀行(ECB)が定めた2%の上限を大幅に下回っている。

 ドイツ国内にも、そうした要求に同調する向きがある。ジグマール・ガブリエル経済相の顧問を務めるマルセル・フランツシャー氏は、ドイツは自国のために投資を増加させるべきだと言う。同氏いわく、ドイツの最近の成功の大部分は、道路から教育、工場に至るまで、あらゆるものへの過少投資で買った「幻想」だった。

 ヴォルフガング・ショイブレ財務相はこれに対し、道路と橋のためにすでに割り当てられている50億ユーロに加え、2016年から3年かけて連邦政府による投資を追加で100億ユーロ増額すると誓った。だが、追加投資はGDP比0.1%程度で、実質的というよりは象徴的な対策だ。

 また、これで財政赤字が増えるわけでもない。なぜなら、ショイブレ氏の最優先事項は依然として、2015年から財政を均衡させる「ブラック・ゼロ」だからだ。

 ドイツ政府に助言する経済諮問委員会(通称5賢人委員…
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