C 61558-2-3:2008
(1)
目 次
ページ
序文
1
1 適用範囲
1
2 引用規格
2
3 用語及び定義
2
4 一般要求事項
3
5 試験に関する一般的注意
3
6 定格
3
7 分類
3
8 表示及びその他の情報
4
9 感電に対する保護
4
10 入力電圧設定の変更
5
11 出力電圧及び出力電流
5
12 無負荷出力電圧
5
13 短絡電圧
5
13A 2 次短絡電流特性
5
14 温度上昇
6
15 短絡及び過負荷に対する保護
6
16 機械的強度
7
17 じんあい(塵埃),固形物及び水分の有害な侵入に対する保護
7
18 絶縁抵抗,耐電圧及び漏えい電流
7
19 構造
7
20 部品
8
21 内部配線
8
22 電源接続及びその他の外部可とうケーブル又はコード
8
23 外部導体用端子
8
24 保護接地接続
8
25 ねじ及び接続部
8
26 沿面距離,空間距離及び絶縁物を通しての距離
8
27 耐熱性,耐火性及び耐トラッキング性
9
28 耐腐食性
9
附属書
11
附属書 JC(参考)JIS と対応する国際規格との対比表
12
C 61558-2-3:2008
(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本
工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は
もたない。
JIS C 61558 の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS
C
61558-1 第 1 部:通則び試験
JIS
C
61558-2-1 第 2-1 部:一般用複巻変圧器の個別要求事項
JIS
C
61558-2-2 第 2-2 部:制御変圧器の個別要求事項
JIS
C
61558-2-3 第 2-3 部:ガスバーナ及び石油バーナ用点火変圧器の個別要求事項
JIS
C
61558-2-4 第 2-4 部:一般用絶縁変圧器の個別要求事項
JIS
C
61558-2-5 第 2-5 部:かみそり用変圧器及びかみそり用電源装置の個別要求事項
JIS
C
61558-2-6 第 2-6 部:一般用安全絶縁変圧器の個別要求事項
JIS
C
61558-2-7 第 2-7 部:がん(玩)具用変圧器の個別要求事項
JIS
C
61558-2-8 第 2-8 部:ベル及びチャイム用変圧器の個別要求事項
JIS
C
61558-2-9 第 2-9 部:白熱電球のクラスⅢハンドランプ用変圧器の個別要求事項
JIS
C
61558-2-12 第 2-12 部:定電圧変圧器の個別要求事項
JIS
C
61558-2-13 第 2-13 部:一般用単巻変圧器の個別要求事項
JIS
C
61558-2-17 第 2-17 部:スイッチモード電源装置用変圧器の個別要求事項
JIS
C
61558-2-19 第 2-19 部:じょう(擾)乱減衰用変圧器の個別要求事項
JIS
C
61558-2-20 第 2-20 部:小形リアクトルの個別要求事項
JIS
C
61558-2-23 第 2-23 部:建築現場用変圧器の個別要求事項
日本工業規格
JIS
C
61558-2-3
:2008
変圧器,電源装置,リアクトル及び
これに類する装置の安全性−
第 2-3 部:ガスバーナ及び石油バーナ用
点火変圧器の個別要求事項
Safety of power transformers, power supply units and similar devices−
Part 2-3: Particular requirements for ignition transformers for gas and oil burners
序文
この規格は,1999 年に第 1 版として発行された IEC 61558-2-3 を基に作成した日本工業規格であるが,
日本の配電事情などを考慮し,技術的内容を変更して作成した日本工業規格であり,JIS C 61558-1:2008
(変圧器,電源装置,リアクトル及びこれに類する装置の安全性−第 1 部:通則及び試験)と併読する規
格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一
覧表にその説明を付けて,
附属書 JC に示す。
1
適用範囲
この規格は,電気的安全性,熱的安全性,機械的安全性などの安全側面について規定する。
この規格は,固定形で単相の自然空冷式又は強制空冷式の機器用(組込形又は非組込形)変圧器であり,
定格入力電圧が交流 1 000 V 以下,定格周波数が 500 Hz 以下のガスバーナ及び石油バーナの点火系統に用
いられるものに適用する。定格出力電流は,交流 500 mA 以下とする。
注記 1 (削除)
無負荷出力電圧及び定格無負荷出力電圧は,交流 15 000 V 以下とする。ただし,電子式のものは,この
限りでない。
この規格は,設置規則又は機器の仕様によって回路間に二重絶縁又は強化絶縁が要求されていない変圧
器に適用する。
注記 2 この変圧器は,機器の機能上の要求事項によって,入力電圧とは異なる電圧を供給するよう
に機器と組み合わせる。安全絶縁は,例えば,機器の外郭のような手段によって備えて(又
は完全にして)もよい。
この規格は,乾式変圧器に適用する。巻線は,密封していても,していなくてもよい。
注記 3 液体誘電物質又は砂のような粉末物質を充てん(填)した変圧器については,追加の要求事項
は検討中である。
注記 4 次の点に注意する。
2
C 61558-2-3:2008
− 熱帯の地域で使用するように意図した変圧器については,特別な要求事項が必要となる
場合がある。
− 特殊な環境場所で使用するものには,特別な要求事項が必要となる場合がある。
この規格は,電子回路を組み込んだ変圧器にも適用する。この規格は,変圧器の入力端子及び出力端子
並びにコンセントに接続するように意図した外部回路及びその部品については適用しない。
注記 5 (削除)
注記 6 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
IEC 61558-2-3:1999,Safety of power transformers, power supply units and similar devices−Part
2-3: Particular requirements for ignition transformers for gas and oil burners (MOD)
なお,対応の程度を表す記号(MOD)は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,修正していることを
示す。
2
引用規格
引用規格は,JIS C 61558-1 の箇条 2 によるほか,次による。
JIS C 61558-1:2008 変圧器,電源装置,リアクトル及びこれに類する装置の安全性−第 1 部:通則及
び試験
注記 対応国際規格:IEC 61558-1:2005,Safety of power transformers, power supplies, reactors and
similar products−Part 1: General requirements and tests (MOD)
JIS Z 9101 安全色及び安全標識−産業環境及び案内用安全標識のデザイン通則
注記 対応国際規格:ISO 3864-1,Graphical symbols−Safety colours and safety signs−Part 1:Design
principles for safety signs in workplaces and public areas (IDT)
3
用語及び定義
用語及び定義は,JIS C 61558-1 の箇条 3 によるほか,次による。ただし,3.5.4 及び 3.5.5 は,この規格
による。
3.1.101
点火用変圧器 (ignition transformer)
変圧器の高電圧の出力側に接続される二つの電極間に,高電位によってアークを発生させる機器の一部
である固定形,単相,空冷式の機器用変圧器。この変圧器は,点火装置の一部である制御装置と併用する
必要がある。
3.1.102
定格負荷時間率 (rated duty factor)
電子式の変圧器以外のものに対して,
それが作動する時間間隔で,全サイクルの中のその期間の百分率。
3.1.103
機能絶縁 (functional insulation)
導電部相互間の絶縁であって,機器の正常機能にだけ必要な絶縁。
3.5.4
定格出力電流 (rated output current)
電子式の変圧器以外のものに対して,出力巻線の短絡時の定格入力電圧及び定格周波数における出力電
流。製造業者が変圧器に指定する。
3
C 61558-2-3:2008
3.5.5
定格出力電圧 (rated output voltage)
変圧器が無負荷条件下で定格周波数の定格入力電圧に接続される場合の出力電圧。ただし,電子式のも
のは,Vo-p とする。
4
一般要求事項
一般要求事項は,JIS C 61558-1 の箇条 4 による。
5
試験に関する一般的注意
試験に関する一般的注意は,JIS C 61558-1 の箇条 5 による。
6
定格
定格は,JIS C 61558-1 の箇条 6 によるほか,次による。
6.101 定格出力電圧は,交流 15 000 V 以下でなければならない。電子式のものは,この限りでない。
6.102 (規定なし)
6.103 定格周波数は,500 Hz 以下でなければならない。
6.104 定格入力電圧は,交流 1 000 V 以下でなければならない。
6.105 点火用変圧器は,間欠運転又は連続運転を意図している。
注記 間欠運転の全サイクルの優先値は,3 分である。
6.106 定格出力電流は,定格 2 次電圧が 600 V を超えるものは,交流 50 mA 以下,その他のものは,
500 mA 以下でなければならない。
注記 (削除)
6.107 定格出力電圧,定格出力電流及び定格負荷時間率の優先値は,表 101 に示す。
6.101∼6.107 の要求事項に対する適否は,表示の検査によって判定する。
7
分類
分類は,JIS C 61558-1 の箇条 7 による。ただし,7.1,7.2,7.4,及び 7.5 は,この規格による。また,
7.6.2 は,適用しない。
7.1
感電防止の程度に従って,次のとおり分類する。
− クラス0Ⅰ,Ⅰ変圧器
注記 組込形変圧器は分類しない。その感電防止の程度は,変圧器が組み込まれる方法によって決め
られる。
7.2
耐短絡又は異常な使用からの保護に従って,次のとおり分類する。
− 本質的耐短絡変圧器
− フェイルセーフ変圧器
7.4
その可動性に従って,次のとおり分類する。
− 固定形変圧器
7.5
その運転期間に従って,次のとおり分類する。
− 連続運転
− 間欠運転
4
C 61558-2-3:2008
8
表示及びその他の情報
表示及びその他の情報は,JIS C 61558-1 の箇条 8 によるほか,次による。ただし,8.1 の項目 d)及び p)
は,この規格による。
8.1
JIS C 61558-1 によるほか,次による。
項目 c):適用しない。
項目 d):項目 d)を次の内容に置き換える。
ミリアンペアでの定格出力電流。
項目 f):適用しない。
項目 h):項目 h)は,JIS C 61558-1 によるほか,次による。
点火用変圧器には,8.11 に示す図記号の一つを表示しなければならない。
項目 p):項目 p)を次の内容に置き換える。
間欠運転用の点火用変圧器には,定格負荷時間率と全サイクル期間を表示しなければならない。
項目 q):項目 q)は,JIS C 61558-1 によるほか,次による。
変圧器には,JIS Z 9101 に準拠した色彩を使って IEC 60417 の図記号 5036 を表示しなければな
らない。
点火用変圧器は機器用変圧器であるので,この図記号の表示は,その変圧器にあっても,変圧
器近くに配置した機器にあってもよい。図記号が変圧器になければ,製造業者は,その図記号が
変圧器近くの機器に表示されなければならない旨を,指示書に明記しなければならない。
8.11 JIS C 61558-1 によるほか,次による。
8.14 JIS C 61558-1 によるほか,次による。
ガスバーナ及び石油バーナ用の点火用変圧器の最終的な安全性は,制御装置に依存する。したがって,
このことを指示書に明記しなければならない。
9
感電に対する保護
感電に対する保護は,JIS C 61558-1 の箇条 9 による。
5
C 61558-2-3:2008
10 入力電圧設定の変更
入力電圧設定の変更は,JIS C 61558-1 の箇条 10 による。
11 出力電圧及び出力電流
出力電圧及び出力電流は,JIS C 61558-1 の箇条 11“負荷時の出力電圧及び出力電流”の箇条名称及び規
定内容を,この規格に置き換えて適用する。
11.1 電子式の変圧器以外のものに対して,その出力電流は,10 %を超えて定格出力電流と異なってはな
らない。
適否は,次の試験によって判定する。
変圧器の出力端子は,適切な電流計を使って短絡する。変圧器は,定格周波数の定格入力電圧に接続し,
定常状態が達成されるまで定格負荷時間率で運転する。その後すぐに,出力電流を測定する。
次に,入力電圧を 85 %に下げる。最小出力電流は,定格出力電流の 70 %以上でなければならない。
11.2 無負荷出力電圧は,定格出力電圧が 6 kV 以下のものは 10 %,6 kV を超えるものは 5 %を超えて,
定格出力電圧と異なってはならない。ただし,電子式のものは,その無負荷出力電圧は,定格出力電圧の
90 %以上でなければならない。
注記 (削除)
適否は,次の試験によって判定する。
変圧器は,定格周波数の定格入力電圧に接続する。無負荷出力電圧の実効値を測定する。この試験期間
中,接地端子は保護接地に接続しなければならない。
注記 試験装置は,試験装置又は測定回路網の容量のために電圧の上昇が起きないように選択するこ
とが望ましい。
表 101−運転に関するパラメータの優先値
出力巻線の接地へ
の接続の方法
M M E E M M M E E M M M
定格負荷時間率
%
100
100
100
100
33
33
33
33
33
20
20
20
定格出力電圧
kV
14
10
7
5
14
10
10
7
5
10
10
10
定格出力電流
mA
20
20
20
20
30
20
16
20
20
23
20
16
M=接地(本体)に接続される出力巻線の中央部分
E=接地(本体)に接続される出力巻線の一端
12 無負荷出力電圧
無負荷出力電圧は,JIS C 61558-1 の箇条 12 を適用しない。
13 短絡電圧
短絡電圧は,JIS C 61558-1 の箇条 13 を適用しない。
13A 2 次短絡電流特性
2 次短絡電流特性は,JIS C 61558-1 の箇条 13A による。ただし,電子式の変圧器以外のもので,その定
6
C 61558-2-3:2008
格 2 次電圧が 30 V を超えるものに対してだけ適用する。
14 温度上昇
温度上昇は,JIS C 61558-1 の箇条 14 によるほか,次による。
14.1 JIS C 61558-1 の 14.1 によるほか,最初の段落の後に,次を追加する。
間欠運転の場合,試験は,定格負荷時間率で実施する。温度は,変圧器が作動する間隔時間の中間で測
定する。
“変圧器は,定格入力電圧で給電し,”で始まる第 10 段落を次に置き換える。
点火用変圧器には,定格周波数で 1.06 倍の定格入力電圧を供給し,出力巻線は完全に短絡する。
15 短絡及び過負荷に対する保護
短絡及び過負荷に対する保護は,JIS C 61558-1 の箇条 15 によるほか,次による。ただし,15.2 は,こ
の規格による。
15.1 JIS C 61558-1 の 15.1 によるほか,次による。
− 点火用変圧器については,更に,15.101 の試験による。
15.2 連続運転用の本質的耐短絡点火用変圧器については,この試験は,14.1 の試験によって取り扱う。
間欠運転用の本質的耐短絡点火用変圧器については,試験は,全出力巻線の出力端子を短絡して行う。
ガスバーナ用の変圧器の試験時間は,変圧器が作動する時間間隔の 2 倍である(定格負荷時間率と全サイ
クルの期間から算出しなければならない。
)
。石油バーナの試験時間は,
表 102 による。
表 102−短絡試験の試験時間
定格負荷時間率
%
試験時間
分
20 未満
8
20 以上 30 未満 15
30 以上 100 未満 30
15.101 点火用変圧器には,図 101 に示すようにアークホーンに接続する一方で,定格負荷時間率の値を
考慮し,定格周波数で 1.06 倍の定格入力電圧を供給する。試験期間中,アークホーンは,通気のない場所
に,垂直に置く。
アークホーンは,発生する火花が消滅するような構造でなければならない。距離 A と角 α は,相応に調
節する。試験は,50 日間にわたって連続して繰り返す。
注記 定格出力電圧が 10 kV 未満の点火用変圧器については,ホーンの角度を,火花を消滅させるた
めに試験に合わせて調節してもよい。
高圧リード線は,300 mm 未満の長さとする。リード線には金属外装があってはならず,またその銅断
面積は 1 mm
2
以上でなければならない。これらのリード線間の平均距離は,おおよそ 40 mm であることが
望ましい。
試験期間中,点火用変圧器は運転停止を起こしてはならない。
この試験の後,変圧器は,箇条 11 及び箇条 18 に準拠した試験に耐えなければならない。ただし,箇条
18 の値は,35 %分を減じる。
7
C 61558-2-3:2008
16 機械的強度
機械的強度は,JIS C 61558-1 の箇条 16 による。
17 じんあい(塵埃),固形物及び水分の有害な侵入に対する保護
じんあい,固形物及び水分の有害な侵入に対する保護は,JIS C 61558-1 の箇条 17 によるほか,次によ
る。
17.101 組込形変圧器以外の点火用変圧器は,IPX4 以上の保護等級を備えなければならない。
18 絶縁抵抗,耐電圧及び漏えい電流
絶縁抵抗,耐電圧及び漏えい電流は,JIS C 61558-1 の箇条 18 によるほか,次による。
18.2 JIS C 61558-1 の 18.2 によるほか,次による。
表 7:二重絶縁又は強化絶縁の値は,適用しない。
18.3 JIS C 61558-1 の 18.3 によるほか,次による。
表 8a:
− 欄 2)及び欄 4)は,適用しない。
− 欄 1)及び欄 3)は,鉄心が接地に接続される場合に入力回路にだけ適用する。
18.4 JIS C 61558-1 の 18.4 によるほか,最初の段落を次に置き換える。
18.3 の試験の後で,点火用変圧器に,2 倍の定格周波数で,また入力電圧を出力電圧が 1.5 倍の定格値に
相当するまで上げて 1 分間試験を行う。負荷は接続しない。
この細分箇条は,電子式のものには適用しない。
19 構造
構造は,JIS C 61558-1 の箇条 19 による。ただし,19.1 及び 19.19 は,この規格によって,また,19.15
は適用しない。
19.1 入出力回路は,相互を電気的に分離し,またその構造は,直接又は他の金属部を介して間接的にこ
れらの回路間にいかなる接続も生じない構造でなければならない。
適否は,箇条 18 及び箇条 26 を考慮に入れ,検査及び測定によって判定する。
19.1.1 入出力巻線(一つ又は複数)間の絶縁は,少なくとも,定格入力電圧に準拠した寸法をもつ基礎絶
縁で構成しなければならない。
入力巻線と本体との間及び入力巻線と鉄心との間の絶縁は,定格入力電圧に準拠した寸法をもつ基礎絶
縁によって構成しなければならない。出力回路(一つ又は複数)と本体との間及び出力回路(一つ又は複
数)と鉄心との間の絶縁は,機能絶縁でなければならない。これらの絶縁は,15.101 及び 18.4 の試験によ
って十分に判定できる。
19.1.2 中間金属部を本体又は鉄心に接続せずに入出力巻線間に配置する変圧器については,中間金属部と
入力巻線との間,又は中間金属部と出力巻線との間の絶縁は,少なくとも,定格入力電圧に準拠した寸法
をもつ基礎絶縁によって構成しなければならない。
注記 少なくとも基礎絶縁によって,入力巻線若しくは出力巻線から,又は本体若しくは鉄心から分
離されない中間金属部は,関連部分(一つ又は複数)に接続されているとみなす。
中間金属部を介した入出力巻線間の絶縁は,定格入力電圧に準拠した寸法をもつ基礎絶縁によって構成
しなければならない。
8
C 61558-2-3:2008
19.19 可とう性のあるケーブル又はコードを使って接続するように設計された点火用変圧器には,接地導
体のある取り外しできない,可とう性のあるケーブル又はコードが接続できなければならない。
19.101 出力回路(一つ又は複数)は,保護接地に接続しなければならない。
19.102 鉄心は,保護接地に接続しなければならない。ただし,電子式のものはこの限りでない。
注記 保護接地に接続しない鉄心をもつ変圧器は,検討中である。
適否は,検査によって判定する。
20 部品
部品は,JIS C 61558-1 の箇条 20 による。
21 内部配線
内部配線は,JIS C 61558-1 の箇条 21 による。
22 電源接続及びその他の外部可とうケーブル又はコード
電源接続及びその他の外部可とうケーブル又はコードは,JIS C 61558-1 の箇条 22 による。
23 外部導体用端子
外部導体用端子は,JIS C 61558-1 の箇条 23 による。
24 保護接地接続
保護接地接続は,JIS C 61558-1 の箇条 24 による。
25 ねじ及び接続部
ねじ及び接続部は,JIS C 61558-1 の箇条 25 による。
26 沿面距離,空間距離及び絶縁物を通しての距離
沿面距離,空間距離及び絶縁物を通しての距離は,JIS C 61558-1 の箇条 26 によるほか,次による。
この項は,出力回路(一つ又は複数)が保護接地に接続される場合の入力回路(一つ又は複数)にだけ
適用する。この場合,鉄心と出力回路(一つ又は複数)間の機能絶縁は,15.101 及び 18.4 の試験によって
判定できるとみなす。
表 13 は,次を除いて適用する。
欄 1)は,動作電圧を定格入力電圧に置き換えて適用する。
欄 3)は,入力回路にだけ適用する。
欄 4)は,入力端子にだけ適用する。出力回路の端子については,
表 103 の値を適用する。
9
C 61558-2-3:2008
表 103−出力端子の沿面距離と空間距離
絶縁タイプ
沿面距離
mm
空間距離
mm
接地に接続される出力巻
線の中央部分
出 力 端 子 と 接 地 間の 沿
面距離と空間距離
[
]
U
kV
mm
×
1
.
5
[
]
U
kV
mm
×
4
.
3
出 力 端 子 間 の 沿 面距 離
と空間距離
[
]
U
kV
mm
×
1
.
5
[
]
U
kV
mm
×
4
.
3
接地に接続される出力巻
線の一端
出 力 端 子 と 接 地 間の 沿
面距離と空間距離
[
]
U
kV
mm
×
55
.
2
[
]
U
kV
mm
×
7
.
1
注記 U は,キロボルトでの定格出力電圧である。
欄 5)は,動作電圧を定格入力電圧に置き換えて適用する。
27 耐熱性,耐火性及び耐トラッキング性
耐熱性,耐火性及び耐トラッキング性は,JIS C 61558-1 の箇条 27 による。ただし,27.3 は,適用しな
い。
28 耐腐食性
耐腐食性は,JIS C 61558-1 の箇条 28 による。
10
C 61558-2-3:2008
単位 mm
定格出力電圧
kV
おおよそのすき間 A
mm
6 以下 2
6 を超え 10 以下 3
10 を超え 15 以下 5
図 101−アークホーン
11
C 61558-2-3:2008
附属書
附属書は,JIS C 61558-1 の附属書によるほか,次による。
附属書 C
(
規定)
沿面距離,空間距離及び絶縁物を通しての距離 材料グループⅡ
沿面距離,空間距離及び絶縁物を通しての距離 材料グループⅡは,JIS C 61558-1 の
附属書 C によるほ
か,次による。
表 C.1 は,次を除いて適用する。
欄 1)は,動作電圧を定格入力電圧に置き換えて適用する。
欄 3)は,入力回路にだけ適用する。
欄 4)は,入力端子にだけ適用する。出力回路の端子については,
表 103 の値を適用する。
欄 5)は,動作電圧を定格入力電圧に置き換えて適用する。
附属書 D
(
規定)
沿面距離,空間距離及び絶縁物を通しての距離 材料グループⅠ
沿面距離,空間距離及び絶縁物を通しての距離 材料グループⅠは,JIS C 61558-1 の
附属書 D によるほ
か,次による。
表 D.1 は,次を除いて適用する。
欄 1)は,動作電圧を定格入力電圧に置き換えて適用する。
欄 3)は,入力回路にだけ適用する。
欄 4)は,入力端子にだけ適用する。出力回路の端子については,
表 103 の値を適用する。
欄 5)は,動作電圧を定格入力電圧に置き換えて適用する。
参考文献
参考文献は,JIS C 61558-1 の参考文献による。
12
C 61558-2-3:2008
附属書 JC
(
参考)
JIS と対応する国際規格との対比表
JIS C 61558-2-3:2008 変圧器,電源装置,リアクトル及びこれに類する装置の安
全性−第 2-3 部:ガスバーナ及び石油バーナ用点火変圧器の特別要求事項
IEC 61558-2-3:1999, Safety of power transformers, power supply units and similar
devices−Part 2-3: Particular requirements for ignition transformers for gas and oil
burners
(Ⅰ)JIS の規定
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
箇 条 番 号
及び名称
内容
(Ⅱ)
国際規格
番号
箇条番号
内容
箇 条 ご と
の評価
技術的差異の内容
(Ⅴ)JIS と国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策
1
適用範囲
点 火 用 変 圧 器 を 規
定
1
JIS に同じ
削除
注記 1 及び注記 5 を削除した。 規定と直接関係していないため削
除した。注記 1 については,日本
のデビエーションであるが,取り
下げる予定(6.101 参照。
)。
JIS に同じ
追加
電子式の出力電圧は,15 000 V
を超える範囲も対象とした。
電子式のものには,出力電圧が 15
000 V を超えるものが多 く ある
(IEC 規格では,電子式が考慮さ
れていないが,日本では多く存在
するため,電子式を適用範囲に加
えて規格を作成した。)
。
JIS に同じ
追加
第 1 部及び他の個別規格と統一し
た。
3.1.102
定 格 負 荷 時 間 率 の
定義
3.1.102
JIS に同じ
追加
電子式変圧器以外のものに対
する定義であることを明確に
した。
定格負荷時間率は,電子式のもの
に対しては,規定できない。
3.5.4
定格出力電流
3.5.4
JIS に同じ
追加
電子式変圧器以外のものに対
する定義であることを明確に
した。
定格出力電流は,電子式のものに
対しては,規定できない。
3.5.5
定格出力電圧
3.5.5
JIS に同じ
追加
電子式変圧器については,ピー
ク電圧とした。
電子式は,実効値測定が困難であ
る。
6.101
定 格 出 力 電 圧 の 上
限値
6.101
JIS に同じ
追加
電子式の出力電圧は,15 000 V
を超える範囲も対象とした。
電子式のものには,出力電圧が 15
000 V を超えるものが多くある。
12
C
615
58-
2-
3
:
2
008
13
C 61558-2-3:2008
(Ⅰ)JIS の規定
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
箇 条 番 号
及び名称
内容
(Ⅱ)
国際規格
番号
箇条番号
内容
箇 条 ご と
の評価
技術的差異の内容
(Ⅴ)JIS と国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策
6.106
定 格 出 力 電 流 の 上
限値
6.106
JIS に同じ
追加
定格 2 次電圧が 600 V を超える
ものについては,50 mA 以下
とした(IEC 規格は,500 mA)。
また,注記を削除した。
安全上,現状で守られている限度
値を適用した。注記の内容は,我
が国のデビエーションであるが,
内容を見直し JIS では,本文に記
載した。
7.1
感 電 防 止 の ク ラ ス
分類
7.1
JIS に同じ
追加
JIS では,クラス 0I 変圧器を
追加した。
我が国の配電事情による。
11.1
出力電流の許容値
11.1
JIS に同じ
追加
電子式変圧器以外のものに対
して,この項目を適用すること
にした。
定格出力電流は,電子式のものに
対しては,規定できない。
11.2
無 負 荷 出 力 電 圧 の
許容値
11.2
JIS に同じ
追加
JIS では,6 kV を超えるものに
ついては,許容差を 5 %とした
(IEC 規格は 10 %)
。
また,電子式のものは,10 %
を超えて下回ってはならない,
とした。
出力電圧に関する許容差を国内の
規定にあわせた。また,電子式の
場合,無負荷出力電圧が高くなっ
ても負荷電圧で調整でき問題がな
いため,出力電圧の上限に対する
許容差を削除した。
13A
2 次 短 絡
電流特性
電 子 式 の 変 圧 器 以
外のもので,その定
格 2 次電圧が 30 V
を超えるものに 2 次
短 絡 電 流 特 性 を 適
用する
−
規定なし
追加
JIS では,第 1 部で追加した 2
次短絡電流特性を電子式の変
圧器以外のもので,その定格 2
次電圧が 30 V を超えるものに
適用する。
2 次側に接続する配線の電線等を
選択するために,この表示が必要
な場合がある。
14.1
温度上昇試験
14.2
JIS に同じ
変更
項番号の変更。
4 行目の“第 9 段落”を“第 10
段落”に修正。
対応する第 1 部の版が新しくなっ
たことによる。
15.2
短 絡 及 び 過 負 荷 試
験の試験条件
15.2
JIS に同じ
変更
文中の“14.1”は IEC 規格で
は“14.2”
。
対応する第 1 部の版が新しくなっ
たことによる。
18.3
耐電圧試験
18.3
JIS に同じ
変更
文中の“表 8a”は IEC 規格で
は“表 8”
。
対応する第 1 部の版が新しくなっ
たことによる。
13
C
615
58-
2-
3
:
20
0
8
14
C 61558-2-3:2008
(Ⅰ)JIS の規定
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JIS と国際規格との技術的差異の箇条
ごとの評価及びその内容
箇 条 番 号
及び名称
内容
(Ⅱ)
国際規格
番号
箇条番号
内容
箇 条 ご と
の評価
技術的差異の内容
(Ⅴ)JIS と国際規格との技術的差異
の理由及び今後の対策
18.4
巻 線 間 の 絶 縁 性 能
試 験 ( 誘 導 耐 圧 試
験)
18.4
JIS に同じ
追加
電子式変圧器以外のものに対
して,この項目を適用すること
にした。
電子式のものに対して,電源周波
数をあげても,出力電圧が 1.5 倍に
ならないものがあり,また,この
誘導耐圧は,巻き線のターン間の
絶縁を確認するものであるため,
電子式のものに対しては,適切で
ない。
19.102
鉄 心 に 対 す る 保 護
接地の義務化
19.111
JIS に同じ
追加
電子式変圧器以外のものに対
して,この項目を適用すること
にした。
電子式のものは,一般にパルスト
ランスを使用しており,鉄心部分
に つ い て 保 護 接 地 に 接 続 で き な
い。
JIS と国際規格との対応の程度の全体評価:IEC 61558-2-3:1999,MOD
被引用法規
電気用品安全法(予定)
注記 1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 削除……………… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加……………… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更……………… 国際規格の規定内容を変更している。
注記 2 JIS と国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD………………国際規格を修正している。
14
C
615
58-
2-
3
:
2
008