ナイジェリア:ボコ・ハラムか 相次ぐ女の自爆テロ
毎日新聞 2014年11月26日 18時56分(最終更新 11月26日 20時43分)
◇25日にマイドゥグリで10代女2人が実行犯
【ヨハネスブルク服部正法】西アフリカ・ナイジェリアで女の自爆テロが相次いでいる。10代の少女が実行犯になるケースも多く、北部でテロを続けるイスラム過激派ボコ・ハラムの犯行とみられている。警戒されにくい女性を「武器」にテロを活発化させ、社会に衝撃を与えるのが狙いのようだ。政府側に治安改善の決め手がない中、女の自爆テロの多発は国内の混乱に追い打ちをかけそうだ。
ナイジェリア北東部の中心都市マイドゥグリの市場で25日、2人の女が実行犯とみられる自爆テロが発生した。AP通信によると、少なくとも30人が死亡。2人は保守的な女性イスラム教徒に特有の頭から体全体を覆う服装の10代の少女だった。ロイター通信などによると1人目の女が自爆した後、けが人救出などのために現場に人が集まったところ、2人目が自爆し被害が拡大したらしい。
ボコ・ハラムは2009年に政府機関やキリスト教会、教育機関などを標的にテロ攻撃を開始。当初は銃や爆弾を多用してきたが、今年6月に北部ゴンベ州の政府軍兵舎前で爆発物を身に着けた女を自爆させた。7月下旬には北部の中心都市カノで4回の自爆テロが相次いだが、実行犯はいずれも10代の少女だったと報じられた。
国際テロ組織に詳しいシンクタンク「安全保障研究所」(南アフリカ)のマーティン・エウィ上級研究員は毎日新聞の取材に対し、ボコ・ハラムが少女を意図的に自爆テロの実行犯に選んでいるとみる。「テロ犯として少女が最も疑われにくく、注意をひかない。政治家などの標的に近づくのも簡単だ」と指摘する。
ボコ・ハラムは今年4月、北東部チボクの女子高から少女約270人を拉致した。エウィ氏は「少女による自爆テロは、拉致した少女を自爆テロに使うかもしれないというボコ・ハラムのメッセージでもある。ボコ・ハラムは少女を使ってナイジェリア社会、市民に大きな衝撃を与えようとしている」と分析している。