南相馬:「がれき撤去と無関係」コメ汚染で規制委

毎日新聞 2014年11月26日 19時36分

 東京電力福島第1原発3号機のがれき撤去作業中に放射性物質が飛散し、20キロ以上離れた福島県南相馬市のコメを汚染したと指摘された問題で、原子力規制委員会は26日、作業による放射性セシウムの降下量を計算した結果、コメが基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超えたのは作業の影響ではないと結論づけた。

 規制委事務局の原子力規制庁は、原発構内で計測された放射性物質の量などから、昨年8月に計1100億ベクレルの放射性セシウムが飛散したと見積もった。風向きなどから各地域に降り注いだ放射性セシウムの量を試算した結果、問題の水田への降下量はコメの基準値超えを引き起こす数十分の1だった。

 規制委は原発事故時に拡散した放射性物質がコメに吸収されたとみている。田中俊一委員長は「セシウムの汚染が広範囲にあるのは事実。県民のため、関係機関には原因をはっきりさせる取り組みを引き続きやっていただく」と述べた。

 東電は今後、1号機でがれき撤去作業を予定している。「放射性物質濃度の監視を強化しながら慎重に進める」としている。【斎藤有香】

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