低炭素社会実現へ 世界は危機を克服できるか
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巨大台風や干ばつ、感染症の拡大。いま、人類は地球温暖化のリスクに直面している。12月1日から開催される国連気候変動枠組み条約締約国会議・COP20では、翌年合意を目指すポスト京都議定書に向けて、世界が一致して温暖化に立ち向かえるのかが問われている。
カギを握るのは、世界のC02総排出量の40%以上を占めるアメリカと中国だ。京都議定書では、中国を含む発展途上国には削減義務がなく、アメリカも枠組みから離脱した。しかし、先月の国連の気候サミットでは、米中はともにCO2削減の責任を果たすと表明し、来年の早い時期に削減目標を提示すると約束。これまでの姿勢に変化の兆しが見え始めた。
今後の課題のひとつが法的拘束力の是非だ。京都議定書では、先進国にのみ罰則のある削減義務が課されたことにアメリカが反発し離脱した。そこで新たな枠組みでは、各国が自主目標を決める方向で議論が進んでいるが、実効性を担保するために法的拘束力は必要だという声は強い。しかし、中国など途上国は「温暖化の歴史的責任は先進国にある」と否定的だ。
さらに、途上国の削減目標をどうするかも課題だ。京都議定書の採択から17年の間に、中国のCO2排出量が世界最大になるなど新興国の排出量が急増している。「もはや先進国と途上国という単純な二分論は当てはまらない」という声は大きいが、新興国は自国の経済成長を妨げるような削減目標には否定的だ。先進国の技術移転の促進など、新たな支援も含めた対応が迫られている。
一方、CO2を削減するために、どのようなエネルギーに転換していくかも世界が抱える大きな課題だ。クリーンなエネルギーとして注目された再生可能エネルギーは、各国で固定価格買い取り制度が導入されたが、供給が不安定でコストが高いことなどから見直しが進められている。普及に向けて経済との両立をどのように図っていくかが問われている。
さらに、既存のエネルギーをどう活用するかも議論を呼んでいる。安価なことから需要が急増し、いまや世界の発電の40%以上を担う石炭。シェールガス革命を進めるアメリカは、CO2排出量の多い石炭火力の途上国への融資を原則停止すると発表。各国にも協力を呼びかけ、北欧や世界銀行などが追随している。しかし、この方針に途上国は反発。原発の再稼動が進まない日本や脱原発を目指すドイツも、高効率の石炭火力発電の開発に力を入れ、途上国への輸出を進めている。「脱石炭」の是非は、エネルギーのベストミックスのあり方につながる大きな論点になっている。
世界は危機を克服するために協調できるのか。経済成長と低炭素社会は両立できるのか。ポスト京都議定書と未来のエネルギーのあるべき姿を世界のウィズダムが議論する。
ミニ番組
本放送日程
| 放送 (国内) | BS1 2014年11月22日(土)
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| 再放送 (国内) | BS1 2014年9月7日(日)
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| 国際放送 |
NHK World Premium有料 日本語放送 |