最大震度6弱の地震に襲われた長野県北安曇郡白馬村、小谷村の被災者は24日、自宅の片付けを本格化させた。住宅の全壊、半壊にかかわらず、屋内は家財が激しく散乱し、作業はなかなかはかどらない。「どこから手を付けたらいいか」。住民の戸惑いは大きい。白馬村社会福祉協議会はボランティアに対する住民要望の聞き取りを始めた。
4棟が全壊し、ほかに34棟が壊れた同村神城三日市場ではこの日、柏原隆典さん(58)が傾いた自宅から荷物を運び出していた。「昨日よりだいぶ傾いた。大きな余震があればつぶれるな」。不安そうに話した。
木造かやぶきの家屋を改修した自宅。家具が散乱し、外には窓ガラスの破片などが散乱した。「どこから手を付けていいかも分からない状態」(柏原さん)で片付けを始めたが進まない。「せめて持病の薬と保険証だけでも持って帰らないと」と話した。
神城堀之内の会社役員柏原輝久さん(61)は、親戚や知人と荷物を運び出した。「途方に暮れているわけにはいかない」と自身に言い聞かせるようにつぶやく。「生活再建にはまず片付けが必要」。柏原さんはそう言い、「この地区には1人暮らしで、自分たちだけではどうしようもないお年寄りがいる」とも懸念した。
一方、堀之内で親戚の家の片付けを手伝っていた男性は、「大きな余震で二次災害に巻き込まれるか分からない状態で、他人に手伝いを頼むのは申し訳ない。家の中を見られたくない人もいるだろう」と気に掛けた。
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こうした被災者の状況を踏まえ、白馬村社会福祉協議会は24日、村役場多目的研修集会施設に村災害ボランティアセンター(受付専用電話080・5072・9457)を設置。25日から大北地域の住民を対象にボランティアの登録を受け付ける。この日は村民など19人がセンター開設や避難所の掃除を手伝った。
同社協は民生委員を通じて情報収集したが、24日午後5時までに集まったボランティアへの協力要請は3件にとどまった。担当者は「気を使って自分の家は自分で片付けようと考える人がいるのではないか」とおもんぱかった。
小谷村社会福祉協議会(電話0261・82・2430)も同日、村災害ボランティアセンターを発足させ、村内の15人が応募。白馬村以外の大北地方の社協に協力を求め、25日から8人態勢で避難所の炊き出しや清掃を始める。この日は長野市や諏訪市、大阪市などの数人からも応募があり、村外から村社協を直接訪れた人も2人いた。
ただ、センターで受け付けるボランティアは村内の人に限定する方針。村社協は「大量のボランティアが来ても混乱する。まずは被災者の要望をまとめ、必要ならさらに募集したい」としている。