読了。実践できているかは心もとないが、「やることを減らしてリソースを集中する」というのがここ数年の、特に息子と娘を授かってからこっちの俺のテーマなので、本書は楽しみにしていた。
この週末を利用してじっくり読んだのだが、今後の人生の指標足りうる好著だった。
- 作者: グレッグ・マキューン,高橋璃子
- 出版社/メーカー: かんき出版
- 発売日: 2014/11/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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目次
PART1 エッセンシャル思考とは何か
第1章 エッセンシャル思考と非エッセンシャル思考
第2章 選択 ─ 選ぶ力を取り戻す
第3章 ノイズ ─ 大多数のものは無価値である
第4章 トレードオフ ─ 何かを選ぶことは、何かを捨てること
PART2 見極める技術
第5章 孤独 ─ 考えるためのスペースをつくる
第6章 洞察 ─ 情報の本質をつかみとる
第7章 遊び ─ 内なる子供の声を聴く
第8章 睡眠 ─ 1時間の眠りが数時間分の成果を生む
第9章 選抜 ─ もっとも厳しい基準で決める
PART3 捨てる技術
第10章 目標 ─ 最終形を明確にする
第11章 拒否 ─ 断固として上手に断る
第12章 キャンセル ─ 過去の損失を切り捨てる
第13章 編集 ─ 余剰を削り、本質を取り出す
第14章 線引き ─ 境界を決めると自由になれる
PART4 しくみ化の技術
第15章 バッファ ─ 最悪の事態を想定する
第16章 削減 ─ 仕事を減らし、成果を増やす
第17章 前進 ─ 小さな一歩を積み重ねる
第18章 習慣 ─ 本質的な行動を無意識化する
第19章 集中 ─ 「今、何が重要か」を考える
第20章 未来 ─ エッセンシャル思考を生きる
最終章 エッセンシャル思考のリーダーシップ
どんな本で「エッセンシャル思考」とはなんぞや、というのは Amazon の商品説明がよくまとまっている。
エッセンシャル思考は、単なるタイムマネジメントやライフハックの技術ではない。本当に重要なことを見極め、それを確実に実行するための、システマティックな方法論だ。エッセンシャル思考が目指す生き方は、「より少なく、しかしより良く」。時代はすでにその方向へ動きだそうとしている。99%の無駄を捨て1%に集中する方法!(Amazon より)
で、著者のグレッグ・マキューンって誰やねん、というのも、これまた Amazon の商品説明が詳しい。
シリコンバレーのコンサルティング会社THIS Inc.のCEO。
エッセンシャル思考の生き方とリーダーシップを広めるべく世界中で講演、執筆をおこない、アップル、グーグル、フェイスブック、ツイッター、リンクトイン、セールスフォース・ドットコム、シマンテックなどの有名企業にアドバイスを与えている。(Amazon より)
ほら、みんなの好きそうな企業の名前が並んでる。
エッセンシャル思考の要諦は「より少なく、しかしより良く」で言い切られているが、これを世間のしがらみのなかで実際に実行していくのは、本当に難しい。とかくこの世は生き難い。で、本書ではそんなエッセンシャル思考を身につけつつ、実生活でも実践していくための具体的なノウハウがしっかりと説かれている。詳細は本書に当たってもらうしかないが、とても実践的かつ具体的。
系譜としてはレオ・バボータ『減らす技術 The Power of LESS 』やブライアン・トレーシー『フォーカル・ポイント 』、最近だとゲアリー・ケラー『ワン・シング 一点集中がもたらす驚きの効果 』に連なる内容だが、具体的、という点で他のものよりも頭ひとつ抜けている印象。
- 作者: レオ・バボータ
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2009/08/05
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- 作者: ブライアン・トレーシー,本田直之,片山奈緒美
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2009/10/03
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- 作者: ゲアリー・ケラー,ジェイ・パパザン,門田美鈴
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2014/01/22
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文中に下記のような、非エッセンシャル思考とエッセンシャル思考の比較対象表が数多く掲載されている。
右がエッセンシャル思考で、どれも当たり前と言えば当たり前のことではあるのだが、「当たり前」ほど難しいことはないわけで。まとめた表を作成したので、これをちらちら眺めつつ、ぜひ人生において身につけたい態度が見つかれば、その方法は本書に求める、というのはいいことだと思う。
掲載ページ | 非エッセンシャル思考 | エッセンシャル思考 |
---|---|---|
57ページ | やらなくては | これをやろう |
選ぶ余地がない | 自分で選びとる | |
66ページ | 大多数のものごとが重要だと考える | 大多数のものごとが不要だと考える |
どの選択肢も平等に扱う | 決定的に重要なことだけをとる | |
78ページ | 両方できるさ | なにを取り、なにを捨てるか? |
どうすれば全部できる? | 何に全力を注ぐ? | |
86ページ | 忙しくて何も考える余裕がない | 考えるための余裕をつくりだす |
101ページ | 声の大き意見に反応する | ノイズのなかのシグナルを探す |
話のすべてを聞こうとする | 語られないことに耳を傾ける | |
情報の渦に飲み込まれる | 情報の本質をつかみとる | |
110ページ | 遊びを軽視する | 遊びを重視する |
遊びは時間の無駄だと思う | 遊びが不可欠だと知っている | |
124ページ | もう1時間睡眠を削れば、もう1時間仕事ができる | もう1時間眠れば、数時間分の生産性が手に入る |
眠るのは根性なしだ | 優秀な人はよく眠る | |
眠ると怠け者になる | 眠ると創造的になる | |
睡眠のせいで仕事量が減る | 睡眠は仕事の効率を高めてくれる | |
136ページ | 何にでもイエスと言う | 上位10%にだけイエスと言う |
「みんながやっているから」やる | 「まさに自分が求めていたことだから」やる | |
157ページ | 価値観やビジョン、ミッションステートメント | 具体的かつ魅力的な戦略 |
具体的だが、人の心を動かさない四半期目標 | 意味があり、心に残る本質目標 | |
価値観はあるが、それを実行するための行動規範がない | ひとつの決断によって、その後のあらゆる決断を不要にする | |
170ページ | 周囲の期待とプレッシャーに負けてイエスと言う | きっぱりと上手にノーと言う |
なんでも引き受ける | 本当に重要なことしか引き受けない | |
182ページ | 「こんなに金をかけたのに、今さらやめられない!」 | 「もしもだま1円も払っていないとしたら、今からこの企画に投資するだろうか?」 |
「やりつづければ、いつか報われるはずだ」 | 「今これをやめたら、何に時間とお金を使えるだろう?」 | |
失敗を認めたくない | すすんで損切りをする | |
197ページ | 良くすることは、何かをつけ加えること | 良くすることは、何かを削ること |
あらゆる細部に愛着がありすぎる | 不要な細部は冷徹に切り捨てる | |
208ページ | 境界線は自分の力を制限するものだ | 境界線引くことで本当の力が発揮できる |
境界線はきゅうくつだ | 境界線は自由を生む | |
毎回ノーを言うのに苦労する | ノーと言わなくてもいいようにあらかじめルールを設定する | |
223ページ | 最善のケースを想定する | 最悪の事態を想定する |
土壇場にならないとがんばらない | 準備と計画に全力を注ぐ | |
235ページ | 応急処置を積み重ねる | 本当の障害を取り除く |
仕事が増える | 成果が増える | |
244ページ | 多くを望み、得るものは少ない | 小さく始めて、大きな成果を得る |
派手な勝利を追い求める | 地味でも着実に勝ちに行く | |
256ページ | 火事場の馬鹿力に期待する | 正しい習慣を通じて自然に達成する |
重要な事をやるのは例外的 | 重要なことをやるのが普通の状態 | |
271ページ | 過去と未来に引き裂かれている | 現在に集中している |
昨日や明日の問題について考える | 目の前の問題を考える | |
未来への不安や過去の失敗を思い悩む | 今を楽しむ |
日々、無駄に忙しい人、必読。
- 作者: グレッグ・マキューン,高橋璃子
- 出版社/メーカー: かんき出版
- 発売日: 2014/11/19
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