「ずれ動いたのは神城断層か」11月23日 19時27分
今回の地震を受けて行った専門家による現地調査の結果、震源地に近い長野県白馬村で活断層がずれ動いてできたとみられる高さ50センチ前後の段差が、1キロ以上にわたって続いているのが見つかりました。専門家は、今回の地震はこの付近に伸びる「神城断層」の一部がずれ動いたのではないかとみて、さらに調査を進めることにしています。
22日夜に長野県北部で震度6弱の揺れを観測した地震を受けて、東京大学や信州大学などの専門家は、被害が大きかった長野県白馬村で地盤の変化などの調査を行いました。
その結果、震源地に近い白馬村北城付近では活断層がずれ動いてできたとみられる高さ50センチ前後の段差が、南北方向に1キロ以上にわたって断続的に続いているのが見つかりました。段差は、東側の地盤が西側の地盤にせり上がるようにしてできたとみられることも確認されました。
この付近には「神城断層」と呼ばれる長さおよそ30キロの活断層が南北に伸びています。調査チームは見つかった痕跡などから、今回の地震は神城断層の一部がずれ動いて起きたとみて、さらに分析を進めることにしています。
調査に当たった東京大学地震研究所の佐藤比呂志教授は「今回の地震によって付近のほかの断層にも影響を与えることも考えられ、さらに詳しい調査が必要だ」と話しています。
神城断層とは
政府の地震調査委員会によりますと、神城断層は長野県から山梨県にかけてのおよそ150キロに及ぶ「糸魚川ー静岡構造線断層帯」の北部に当たる活断層です。長さはおよそ26キロで、長野県の小谷村と白馬村、それに大町市を南北に通っています。
気象庁によりますと、余震が起きている範囲は断層の位置とほぼ重なるということです。また、専門家による現地調査で地表で変化が確認された場所は、この神城断層付近に当たるということです。
一方、「糸魚川ー静岡構造線断層帯」は複数の活断層からなる断層帯で、これまでの調査の結果、およそ1200年前には現在の白馬村周辺から山梨県北杜市にかけてのおよそ100キロの断層がずれ動き、マグニチュード8前後の巨大地震が起きた可能性が高いとされ、それ以前にも繰り返し地震を引き起こしてきたと考えられています。
地震調査委員会は、断層帯のうち中部にある長野県松本市周辺の牛伏寺断層を含む地域では、今後30年以内にマグニチュード8程度の地震が起きる確率は14%と、非常に高くなっているとしています。
一方で複数ある断層のうち、どこまでが連動してずれ動くかについては「判断できない」としています。