香港 幹線道路でもバリケード撤去11月26日 12時34分
民主的な選挙を求めて学生らが抗議活動を続ける香港では、デモ隊と警察がもみ合いになって、これまでに116人が逮捕され、繁華街の幹線道路でもバリケードの撤去が始まったことから現場では混乱の拡大が懸念されています。
香港では、民主的な選挙の実現を求める学生らによるデモ隊が中心部の3か所で幹線道路をバリケードで封鎖するなどして抗議活動を続けていますが、このうち九龍半島の繁華街では、一部の道路で、25日、裁判所の命令に基づいてバリケードが撤去されました。
25日は、現場に立ち会った警察が、反発するデモ隊を強制的に立ち退かせ、その後、別の道路に集まったデモ隊ともみ合いになるなどして、これまでに116人が逮捕されました。
そして、26日は、日本時間の午前11時ごろから、25日の道路に隣接して、さらに広い範囲にわたって座り込みが行われている幹線道路で裁判所の命令に基づいて撤去作業が始まりました。
しかし、デモ隊は抵抗する姿勢を示し、警戒に当たっていた警察ともみ合いとなって10人以上が連行されるなど、緊迫した状況になっています。
この道路で、すべてのバリケードが撤去されると、学生らが抗議活動を行う九龍半島の繁華街の拠点はなくなるため、デモ隊は抵抗を続けることも予想され、現場では混乱の拡大が懸念されています。
香港抗議活動の経緯
香港の抗議活動は、ことし9月の学生たちの授業のボイコットから始まりました。
中国の全人代=全国人民代表大会が香港の行政長官選挙で中国の体制に批判的な民主派の立候補を事実上不可能にしたことに反発したものでした。
9月末になると、授業のボイコットに参加していた学生が、大勢の市民と共に幹線道路の占拠に乗り出し、警察が催涙弾を使って対抗する事態に発展しました。
抗議活動は拡大し、参加者は多い日に10万人を超えました。
学生や市民が、民主的な選挙の導入を訴えたのに対し、政府側は、「中国の決定が撤回されることはない」という立場を貫き、対立は平行線をたどります。
一方、抗議活動は市民生活にも影響を及ぼし、次第に市民の間にも対立が生じるようになります。
幹線道路の占拠で道路の通行が制限されたことで売り上げが落ち込んだというタクシー業者が不満の声を上げたり、抗議活動に反対する市民が学生と小競り合いを起こしたりしました。
そして、先月中旬、抗議活動が続いていた一部の地域で、警察が学生のバリケードの撤去に乗り出し、再び学生らと警察の激しい衝突が起きました。
先月21日には、事態の打開を目指した学生団体の代表と政府幹部の初めての対話もようやく開かれましたが、双方の主張は平行線のまま終わり、学生らと政府の立場の隔たりは縮まらない状態が続きました。
さらに、この対話を受け、学生団体などは、今後の対応について意見の一致を図るため投票を行うことにしていましたが、内部から異論が出て投票は中止になり、結果として抗議活動の参加者の立場の違いが浮き彫りになりました。
こうしたなか、香港の高等裁判所は、抗議活動に反対するタクシーやバスの業界団体などの訴えを受けて、一部の地域にあるバリケードなどの撤去を認める決定や、警察が撤去を妨害する人を逮捕できるという命令を相次いで出し、現地では強制排除が始まるのではないかと緊張が高まっていました。
そして、18日、抗議活動の拠点となっている政府庁舎前の近くで裁判所の命令に基づいて初めてバリケードが撤去されると、これに反発したデモ隊の一部が暴徒化し、警察官との激しい衝突も起きました。
また、暴徒化したデモ隊の一部が座り込んでいる繁華街でも、25日、裁判所の命令で撤去が行われましたが、デモ隊と激しいもみあいになり、警官隊20人がけがをし、116人が逮捕されました。
さらに、26日も繁華街の残りの区域で撤去が始まり、学生らと警察の衝突が再び起こる懸念が高まっていました。