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» 2014年11月26日 12時13分 UPDATE

スマホを30秒で充電する新技術、2016年に製品化へ イスラエル企業が開発

携帯電話なら数秒、電気自動車なら数分で充電できる技術をイスラエルの新興企業が開発した。電力を吸い上げて保持できる、超高密度スポンジのようなバッテリーだという。(ロイター)

[テルアビブ 24日 ロイター]
REUTERS

 携帯電話なら数秒、電気自動車なら数分で充電できる技術をイスラエルの新興企業が開発した。この新技術は、世界で最もダイナミックな2つの消費財業界を一変させることになるかもしれない。

 テルアビブに拠点を置くStoreDotはナノテクノロジーを使って人工分子を合成し、はるかに多くの電荷をより迅速に蓄えられるバッテリーを開発したという。電力を吸い上げて保持できる、超高密度スポンジのようなバッテリーだ。

 試作品はスマートフォン用のバッテリーとしてはまだあまりに大きいが、StoreDotはわずか30秒でスマートフォンに1日分の電気を吸収して提供できる薄型バッテリーを2016年までに市場投入できる見通しという。

 「これまで開発されたことのない新素材だ」と、StoreDotの創業者でCEOのドロン・マイヤースドルフ氏は語る。StoreDotには、ロシアの大富豪でイングランドプレミアリーグのサッカークラブ、チェルシーFCのオーナーであるロマン・アブラモビッチ氏も出資している。

 StoreDotによれば、この新技術は同社が開発した“ナノドット”と呼ばれる技術をベースにしている。ナノドットは化学的に合成されたバイオオーガニックなペプチド分子であり、このナノドットをバッテリーに採用することで、電気の急速吸収とその保持(この点が非常に重要だ)が可能になるという。

 StoreDotはこれまでに2回の資金調達ラウンドで4800万ドルを獲得しており、ある大手の携帯電話メーカーからも出資を受けているという。マイヤースドルフ氏は社名は明らかにしなかったが、アジアの企業であることを認めている。

 現在スマートフォンのユーザー数は17億5000万人に達するとみられており、StoreDotにも大きな市場が予想される。一部の専門家も、今後の仕事次第でStoreDotは大きく成功できるとの考えだ。

 「今の時代、電気の確保が大問題だ。人々は常に電源を探し求めている。StoreDotには、この極めて大きな問題を解決できる潜在力がある」。そう語るのは、世界中で携帯電話業界のベンチャー企業と提携し、評価を行っているザック・ワイスフェルド氏だ。

 「バッテリーのサイズや寿命など、まだ解決すべき課題はあるが、そうした問題を解消できれば、非常に画期的な技術になるはずだ」と、同氏は続ける。バッテリーの寿命は、再充電できる回数で示される。

 マイヤースドルフ氏によれば、急速充電が可能なスマートフォンは現行モデルよりも100〜150ドルほど高くなり、最終的には1500回の充電・放電を繰り返せるようになる見通しという。その場合、寿命は約3年になる。

 さらに同氏は、この技術を使って電気自動車を2〜3分で充電できる車用バッテリーも生産したい考えという。現行の電気自動車は大概、充電に一晩かかる。

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