中村通子
2014年11月25日11時40分
岡山大学は、ラットの腎臓から採った1個の細胞から、腎臓の複雑な立体構造を再現することに世界で初めて成功した。ヒト細胞でもできれば、腎不全の再生医療につながる可能性があるという。24日、米専門誌ステムセルズに掲載された。
腎臓は、構造が最も複雑な臓器の一つ。岡山大医学部の喜多村真治講師(腎臓内科)らは、ラットの腎臓から、腎幹細胞を分離。ゲル状の特殊な立体培地に埋め、細胞が縦横に成長できるようにした。
すると3週間後、腎臓の基本単位であるネフロンに酷似した構造体になった。尿を作る機能も一部確認できたという。ネフロンは細かい管が複雑なループ状につながっている。構造再現は極めて難しいと見られていた。
喜多村講師は「まず腎臓を使う動物実験の代替として使えるでしょう。ヒト細胞で製法が確立できれば、iPS技術と組み合わせて、再生医療に応用できる可能性がある」と話す。(中村通子)
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