山田線の三鉄移管、近く合意 一時金30億円
東日本大震災で被災し運休中のJR山田線(宮古−釜石間、55.4キロ)を第三セクター三陸鉄道(宮古市)に移管する構想をめぐり、岩手県は25日、JR東日本が地元に支払う移管一時金を従来の5億円から30億円に増額する方針を伝えてきたことを明らかにした。沿岸12市町村はおおむね評価しており、12月にも移管受け入れに合意する見通し。震災後、手付かずだった同区間は復旧へ前進する。
復旧工事は、早ければ来春までに始まるとみられる。完了すれば、山田線を挟んで三陸鉄道南北リアス線が直結される。
盛岡市で同日あった県と沿岸市町の首長会議で示された。県によると、JRは移管協力金30億円の負担方針を提示。これまでは赤字補填(ほてん)分の「10年分5億円」だったが、大幅に上積みされた。増額を求める地元の要望を考慮したとみられる。
内訳は赤字補填やJRと三鉄の運賃差額補助、設備更新経費など。算出の根拠は明らかにしていない。達増拓也知事は会議後、「希望が持てる内容だ。この方向でいけば、持続可能な鉄路復旧が可能になる」と述べた。
新たに沿線に加わる自治体は補助金などの負担が予想されるが、碇川豊大槌町長は「年内に一定の方向性が出そうになったことは評価したい」と理解を示した。
山田町の甲斐谷義昭副町長は「金額は評価する。山田、大槌両町への配慮が具体的に示されておらず、持ち帰って検討する」と語った。
沿岸市町村は今後、議会に説明し、12月の首長会議で移管に合意する方向。関係者によると、復旧工事の着工は、震災から4年となる来年3月11日前を目指して調整が進む見通しという。
山田線復旧の総事業費は210億円で、JRが復旧費140億円を負担する。JRは(1)車両の無償譲渡(2)施設管理拠点の整備(3)人的支援−の方針も示している。
2014年11月26日水曜日