翁長新知事にも米、冷ややか「辺野古承認は日本の問題」

2014年11月25日 08:18
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 【平安名純代・米国特約記者】米軍普天間飛行場名護市辺野古移設に反対を訴える翁長雄志氏の勝利で熱気に包まれた沖縄とは対照的に、米側では冷ややかな見方が広がっている。「埋め立て承認が白紙に戻されない限り、県内移設中止要請に関する協議に応じる必要もない」と現行計画を推進する姿勢に揺らぎがない。

 「選挙の翌日に簡単な声明を発表する予定だが、たとえ翁長氏勝利でも現行計画を進めることに変わりはない。辺野古の埋め立て承認が白紙化されない限り、工事も計画通り進んでいく」。米国務省高官は2日後に迫った知事選について、そう淡々と言葉を重ね、選挙結果が移設に影響しないとの説明を繰り返した。

 16日に投開票された知事選の翌日、国務省で開かれた定例記者会見でラスキー報道部長は「(知事選の)結果にかかわらず、米政府は日米間の合意を遂行する」と表明。その言葉通り、翁長氏勝利のわずか3日後に辺野古では工事が再開された。

 「普天間飛行場の国外県外移設、それから県内には造らせない、新辺野古基地は造らせない」-16日夜に那覇市の事務所でそう宣言した翁長氏は、訪米して米側に直接、問題を訴える意欲も見せている。

 しかし、前述した国務省高官は「仲井真弘多知事は日米合意の見直しを公約に掲げながら埋め立てを承認した。新知事による不承認や承認取り消しは日本国内の問題だ。承認が白紙化されない限り、辺野古移設中止要請に関する協議に参加する必要もない。名護市長の訪米時と同様、担当レベルが要請書を受け取る対応になるだろう」と述べた。日本政府が代執行を可能にする行政訴訟なども視野に入れていることから、問題の長期化も想定しているなどとの見解を示した。

 一方で、国防総省当局者は「仲井真知事も米側と直接交渉しようとよく訪米したが、最後は普天間の5年以内運用停止要請など迷走した」と県単独の訪米要請行動に疑問を提示。「(辺野古の)工事はすでに始まっている」と冷めた見方を示した。

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沖縄県知事選挙2014の一覧

普天間飛行場の名護市辺野古移設の是非をめぐり、従来の保守・革新の対立構図から一転した沖縄県知事選挙。現職・新人の計4人が立候補し、基地問題や振興政策を問う。11月16日に投開票される。

候補者プロフィール

下地幹郎(しもじ・みきお)
1961年8月生まれ。宮古島市出身。中央学院大商学部卒。96年、自民公認で衆院初当選。以降、衆院当選4回。2009~10年に国民新党政調会長兼国対委員長、幹事長。12年郵政民営化・防災担当相。政党そうぞう前代表。

喜納昌吉(きな・しょうきち)
1948年6月生まれ。北中城村出身。73年国際大(現沖国大)除籍。76年「喜納昌吉&チャンプルーズ」結成。代表曲に「ハイサイおじさん」など。2004年参院選で初当選し1期。04~11年、13~14年まで民主党県連代表。

翁長雄志(おなが・たけし)
1950年10月生まれ。那覇市出身。75年法政大学法学部卒。85年の那覇市議選で初当選(2期)。92年に県議選で初当選(2期)。2000年の那覇市長選で初当選、4期14年務めた。県市長会長、全国市長会副会長などを歴任した。

仲井真弘多(なかいま・ひろかず)
1939年8月生まれ。那覇市出身。東京大工学部卒。61年通商産業省(現経済産業省)入省。大田昌秀県政で副知事。沖縄電力会長、県商工会議所連合会長などを歴任。2006年に知事選初当選し10年から2期目。

(届け出順)


政策の比較




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[普天間飛行場移設と辺野古埋め立て]

日米両政府が1996年4月、米軍普天間飛行場の全面返還で合意。2006年5月に名護市辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸部にV字形の2本の滑走路を建設する現行計画を両政府が合意、07年、政府が環境影響評価手続きを始めた。民主党政権では「県外」で迷走。12年12月の第2次安倍内閣発足後、県関係の自民党国会議員らが県内容認に変わり、13年12月に仲井真弘多知事が辺野古沖の埋め立てを承認した。14年1月、移設に断固反対する稲嶺進名護市長が再選したが、政府は移設計画を進めている。防衛省はブイ設置、海底ボーリング調査の後、埋め立て本体工事に着手する構え。
「普天間・辺野古新基地」まとめページ

[カジノ法案]

カジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備を推進する法案。超党派の議員連盟が議員立法で提出した。カジノを含む国際会議場、ホテル、娯楽施設などを一体として整備し、滞在型観光を実現し、地域経済の振興を図るのが目的。法成立後、カジノ解禁に向けた法整備を国に求めている。

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