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プロ野球コラム
日米野球でもメジャーリーガーを相手に最速160kmのストレートで立ち向かい、全米に衝撃を与えた大谷翔平。日本で、二刀流が見られるのはいつまでだろうか。
photograph by Hideki Sugiyama
野ボール横丁

二刀流の可能性は証明されたが……。
大谷に続く者が現れないと思う理由。

中村計 = 文

text by Kei Nakamura

photograph by Hideki Sugiyama

 二刀流の大谷翔平(日本ハム)がプロ入り2年目で、一定の結果を出した。

 打者としては、打率.274、ホームラン10本。投手としては、防御率2.61で、11勝を挙げた。ひとまず「成功」といってもいいのではないか。

 さて、少なくともプロでも二刀流が可能であることが証明された。人類史上、不可能だと思われていたことのほとんどがそうだが、通常、ここからは雪崩を打って後に続く者が現れる。

 例えば1969年、アポロ11号が人類初となる月面着陸を成功させると、有人宇宙船の開発は一気に加速した。日本球界でいえば1995年、野茂英雄がメジャーリーグで成功を収めると、伊良部秀輝、佐々木主浩、イチローと日本のトップ選手が次々と後を追った。

 ただメジャー挑戦と違い、二刀流は途中からは難しい。やはり入団から数年、若いということが絶対条件になるだろう。となると最も可能性があるのは、来季のルーキーたちだ。

 楽天からドラフト2位指名を受けた西日本短大付の小野郁は、投手としては153kmのストレートを投げ、打者としては高校通算25本塁打をマーク。新監督の大久保博元が二刀流挑戦を示唆したという報道があった。

 他にもソフトバンク1位の松本裕樹(盛岡大付)、楽天1位の安楽智大(済美)なども、ともに高校時代はエース兼主軸を任され、いずれも大型の右投げ左打ちで、イメージとしては大谷に近い。ただし、松本はすでに投手一本で挑戦する意向を示し、安楽についても小野の二刀流プランを提案した監督の大久保が何も言っていないのだから、おそらくは投手に専念させるつもりなのだろう。

先発登板2日後、打者として出場の日は……。

 だが、話題づくりで一時的に挑戦することはあっても、球団、本人ともに本気で踏み切る球団はないように思える。

『Number』の企画で、大谷に一週間密着したことがある。その中で、もっとも印象的だったシーンは先発登板した2日後、野手として試合に出場する日のことだ。試合前の練習で大谷は最初の組でフリー打撃をしたあと、ベンチ裏へ引っ込むとそれから約1時間、一度もグラウンドへ出てこなかった。

 その間、大谷はベンチ裏の通路のパイプイスに座り、携帯の画面を見たり、頭からバスタオルをかぶりぼーっとしていたり、たまに通りかかる選手や関係者と談笑したりするだけで、何もしていなかった。

 練習をさぼっていたわけではない。2日前に126球を投げ、まだ張りが残る体をそうして休ませていたのだ。

【次ページ】 ある意味、技術以上に凄まじい「体力」。

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