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■河野洋平・元自民党総裁

 最後にあなたにおわびし、謝らなければならない大きな間違いを私はおかした。(1994年1月、当時の首相の)細川護熙さんと(自民党総裁だった私は)選挙制度を決めるトップ会談のさなか、あなたに衆院議長公邸に呼ばれた。直接的な言い方ではなかったが、「ここで変な決定をしちゃいけませんよ。できるだけ慎重にやらないといけないよ」と言われた。あなたが小選挙区に対して非常な警戒心を持っていたのはわかっていた。しかし社会は様々な議論をすべてのみ込み、最終段階になだれこんでいった。私はその流れの中で、小選挙区制の選択をしてしまった。

 今日、日本の政治の劣化が指摘される。政治が信用できるかできないかという議論まである。一つの原因が小選挙区制にあるのかもしれない。あの時の議長公邸における土井さんの顔つき、言葉、忘れることができない。言うことをはっきり言われるあなたが、あの時だけは、議長としてののりを越えないよう難しい言い回しだった。あの時以外は、常に明快で、大胆で、思い切りのよい発言をされていた。(憲政記念館で行われた、社会党委員長や衆院議長を務めた土井たか子さんのお別れの会で)

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