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目の不自由な男性に寄り添う盲導犬のオスカーです。
先月２８日、何者かに腰のあたりを鋭いもので刺されました。

傷痕は、今も痛々しく残っています。

オスカーと暮らす男性
「本当にぼう然、いらいらというか、怒りの塊になった。」

オスカーは、６１歳の全盲の男性が通勤する途中に被害にあったとみられます。

オスカーと暮らす男性
「なんで刺すのかわからない。
（オスカーは）体の一部というか目なので、私に対して突きつけられたのと同じこと。」

核心：傷つけられた“体”

警察などによりますと、男性とオスカーは先月２８日、埼玉県のＪＲ浦和駅から東川口駅まで電車に乗り、勤務先に向かいました。
その後、同僚がオスカーの腰のあたりから血が流れているのに気づきます。
動物病院で手当てを受け、３か所、刺されていたことがわかりました。
診察した獣医師は…。

オスカーを診察した獣医師
「傷が５ミリ前後、小さい穴があった。
フォークみたいなもので、数回傷つけたあとなのか。」

電車内か駅構内などで刺されたとみられ、男性は警察に被害届を出しました。
オスカーが身につけていたシャツには穴などは開いていませんでした。
警察は何者かがシャツをめくり上げるなどして、意図的に危害を加えたとみて、器物損壊の疑いで捜査しています。

オスカーは、けがを負いながらも、当時、大きくほえるようなことはありませんでした。
男性は、けがをしたことにすぐに気づけなかったことに責任を感じていると言います。

オスカーと暮らす男性
「元気にふるまって仕事をしてくれるが、ちょっとした物音でびくっとすることがある。
徐々に回復させようと思っている。」

男性は、事件から１か月たった今も外を歩くのが怖いと感じていて、ストレスで体重が５キロ減ったということです。
今回の事件は、盲導犬と生活する人に大きなショックを与えています。

盲導犬と生活する男性
「目が見えない私たちの目のかわりの犬にああいうことをするのは、私たちの目に刃物を入れるのと同じ。」

人間と深い信頼関係で結ばれている盲導犬。

田中
「横浜市にある盲導犬を訓練する施設です。
こちらでは現在、４２頭の訓練犬が飼育されています。」

盲導犬の訓練施設では今回の事件について…。

日本盲導犬協会　神奈川訓練センター　多和田悟訓練士
「犬にあのような暴挙を行うのは、悲しいし許せない。」

盲導犬に育てる犬は、嫌なことをされてもほえ続けることのないような、穏やかな性格の犬が選ばれるということです。

日本盲導犬協会　神奈川訓練センター　多和田悟訓練士
「性格が神経質な犬、不安が強い犬はできるだけ選ばない。
継続的に連続的に『わんわん』ということはない。
ほとんどの場合、人に対してまったく無防備なはず。」

今回の事件について、神奈川県にある視覚障害者の団体からは次のような見方も…。

話：神奈川県視覚障害者福祉協会　鈴木孝幸理事長
「視覚障害者は何をやられても相手の顔がわからない。
やってもわからないと思っているのでは。
足やしっぽを踏まれたとか蹴られたとか、潜在的には結構ある。」

被害にあったオスカーは現在、けがから回復しているということです。
男性からは…。

オスカーと暮らす男性
「みなさんが同じ思いをするのは嫌。
こんなこと、私で止めてほしい。」

大越
「刑法上は『器物損壊の疑い』ということなんですが、盲導犬がまさにご自分の一部に等しい存在になっている男性にとっては、自ら暴行を受けたも同じ。
卑劣な行為としか言いようがありません。」