いま２ちゃんねるの管理人ーーまとめサイトによる拡散と合わせれば実質的に日本のネットでGoogle検索の１ページ目をコントロールする事の出来る ーーという立場になったジム・ワトキンス氏。その半生は古い良いアメリカの子供時代から漁師を経て米軍勤務、そしてあざやかな２ちゃん管理者権限奪取という希有なものだった。では彼は何から人生を学んで、これから何をしようと考えているのか。前編に続いて、 今度はジム氏の「強さ」の元はどこから来て、どう闘えるのか〜お話の内容をお伝えする。
【聞き手・構成：江藤貴紀】
———ジムさんが（前回に）LINEについておっしゃったことはそのまま書いても構わなかったんですか？
ジム：LINE社は地団駄を踏んで歯ぎしりをしているでしょうけど、訴訟に踏み切るとは思ってません。私の会社にはプログラマーたちがいますから、LINEのソフトが何をしているのかも分かります。そして必要なら反撃としてLINEのことをハッキングだって出来ますよ。
———もう一度、ジムさんが経営していたゴーゴーバーの話を教えて下さい。
ジム：僕のゴーゴーバーは、途中まではとってもうまくいってました。お店の客はルイジアナ州のフォート・ポーク（基地）にいる兵士で、場所は基地裏門側のもろいハイウェイ沿いにあったんです。
でもルイジアナ州は、道路の補強工事を急にすることにして、その高速道路は閉鎖になった。それで基地の兵隊さんたちは遠道をしないとお店に通えなくなって、経営が傾いてしまいました。
———２ちゃんねる管理人の他に将来やりたいと思ってることはありますか？例えば自伝を書いたりとかは。
ジム：実は今、ヨガのトレーナーになるための訓練を受けているんです。パートタイムでヨガのインストラクターをやりたいですね。あと考えてるのはベリーの有機栽培かな。経済的にペイするかどうかは怪しいと思うけれど、個人趣味の農園にはなります。本も書いてるけど、この年で自伝を書いても中身のあるのにはならないと思うし、小説ですね。
———どんなお話なんでしょう。
ジム：近未来に、アメリカ合衆国がなくなった後の北米で活動するボーイスカウト団の話です。すごく遠い将来の話ではないからSFのジャンルとか、スペースオペラじゃないですね。でもこの本はまだ１００ページくらいしか書き上げてなくて、もう１年くらい進んでないから、まだあんまり気にするようなタイミングでもないです。
———他にも何かと書いて来られたんしょうか。
ジム：女の子に読んでもらうポエムを書いたことがあります。すごくぞっとするレベルですが。
あと何年か前に「Klixx」という業界紙に少しだけ記事を書きましたが、今はメールの返信とこの２ちゃんねるで書き込みにレスを付けるくらいで、それぐらいの量を書くのがせいぜいです。
創作的な内容のあるものを書くのは、頭をそれに集中させてエネルギーを使わないとむりですね。
———読書や映画とかの好みを教えて下さい。
ジム：古いものが好きですね。愛読書は（アテナイの軍人クセノフォンが書いた）「キュロスの教育」です。この本は古代ギリシャ人が見たペルシャ大王キュロス２世の生涯を描いた古典です。
音楽のジャンルだとチャイコフスキーから（現代日本のグループ）Astro Attackまで聞いていて、主義みたいなものはありません。
———尊敬している歴史上の人物は。
ジム：キュレス２世とユリウス・カエサル、東郷平八郎に、（アメリカ南北戦争で活躍した北軍の）ジョシュア・チェンバレンと、（注：第一次世界大戦のパイロットで、その後にイースタン航空の社長になった）エディ・リッケンバッカーです。
（アメリカ空軍殊勲十字賞を得たリッケンバーカー）
———ご両親の影響で、古典を読むようになったのでしょうか。あと軍人のことを尊敬してられますが、子供達にも軍のキャリアを積んで欲しいと考えてますか。
ジム：本の好みはおじいちゃんの影響です。子供のころにお爺ちゃんの書斎でずいぶんと本を読ませてもらいました。
子供達に対しては、軍に入れとも入るなとも言うつもりはないです。
（ニックネーム・コードモンキーという）息子は僕の仕事で2ch.netのために忙しいときに、自分がやっていたコースを中断して手伝いに来てくれました。一番下の息子は僕といっしょに、歴史に興味を持ってるけど、これからあの子がどんなものに惹かれていくかは分からない。
あと傾向としていうと、軍人の名前は歴史に残ることが多いのです。多くの歴史は勝者によって書かれます。ただ例外的に、ペロポソネス戦争は、敗軍の将トゥキディデスが最も優れた歴史書を残しましたけどね。
前回記事：日本ネット界の勢力を一夜で逆転させた人物とは———２ch新管理人 ジム・ワトキンス氏 独占ロングインタビュー（前編）
後編に続く〜
＊このやりとりの全文、生文章はもうすぐアップロードされるリンク先で閲覧可能にする予定である。
なお、注とある部分と文中の（）内の記述と文字を太字にしているのは、は筆者、江藤による。
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