ファーガソン=中井大助 ニューヨーク=金成隆一
2014年11月26日00時45分
米社会がまたもや、人種問題で揺らいだ。8月に18歳の黒人少年を撃ち、死なせた白人警察官が起訴されなかった。検察官は「捜査が尽くされた結果」と説明したが、事件が起きた米中部ミズーリ州ファーガソンではデモ隊が暴徒化し、略奪や放火などが発生。米国の他の都市でも、決定に抗議する集会が次々に開かれた。
警察官の不起訴は、24日午後8時すぎの記者会見で発表された。約1時間後に記者がファーガソンに到着すると、黒人の若者らが道路に出て「正義なくして平和なし」と叫んでいた。ガスマスクを着け、盾を持った警察官らは列を組んで道路を封鎖し、「車道から出なければ逮捕する」と拡声機で通告。次第にデモ隊を後退させていた。
警察官の隊列を過ぎ、ファーガソン中心部に入ると放火された警察車両が2台炎上していた。美容院や不動産屋などは窓ガラスが割られ、ガラス片が道路に散乱。中心部から数百メートル離れた場所ではピザ屋やドラッグストアから煙が上がり、消火作業が続いていた。
検察官が公開した捜査書類によると、ダレン・ウィルソン警察官はマイケル・ブラウンさんを撃った経緯について、大陪審に対して「もみ合いになり、顔をなぐられたために銃を取り出した」「銃をつかまれた」などと供述したという。しかし、道に出ていた人たちは不起訴という結論に対し、次々と不満を口にした。チャールズ・モアさん(26)は「武器も持っていない人が殺されたのに、起訴されないとは。正義がないままでは、抗議は止まらない」。シャリー・シレイオさん(28)は「黒人の命も大切だと判断すると期待していた。でも、逆のことが起きた」と憤った。
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朝日新聞国際報道部
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