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 自民党は25日、衆院選の公約を発表した。安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」を中心に、第2次安倍内閣発足から2年の実績を強調。消費税率の引き上げを当初の予定より1年半先送りすることから、来年夏までに財政健全化に向けた具体的な目標を作ると明記した。また、景気回復の恩恵が少ないと指摘される地方を意識し、「地方に実感が届く景気回復を加速させる」と訴えた。

 公約は「景気回復、この道しかない。」をキャッチフレーズに、「好循環の流れを止めることなく、全国津々浦々へ広げる」と記し、消費増税の先送りについて「デフレ脱却のチャンスを手放す訳にはいかない」と理解を求めた。有効求人倍率や賃上げ率、企業倒産件数など、安倍内閣で改善したと主張する経済指標も列挙した。

 消費増税が先送りになる2017年4月までの間も、「着実に子ども・子育て支援、医療、介護等の充実を図る」とし、財政悪化への懸念に対しては、政策に必要な費用をその年の税収などでどれだけ賄えるか示す「基礎的財政収支(PB)」について、「黒字化目標の達成に向けた具体的な計画を来年の夏までに策定する」と明記した。

 地方対策では、「出生率向上に資する総合的な少子化対策」「必要に応じ税制面でも対応」などとした。

 世論の賛否が割れる原子力発電については「重要なベースロード電源」と明記。また、原子力規制委員会が認めた場合、「その判断を尊重し、原発の再稼働を進める」とした。

 外交・安全保障では、米国や豪州などとの協力を「一層強化する」とし、中国、韓国など近隣諸国との関係を「改善する」とうたった。7月に集団的自衛権の行使を認める閣議決定をしたことを受けて、「平時から切れ目のない対応を可能とする安全保障法制を速やかに整備する」と記した。

 全体的に政権の実績が強調され、約束に当たる部分があいまいな表現になっている。(相原亮)