November 25, 2014
地球が属する天の川銀河の周囲を公転する、ろ座矮小銀河の球状星団をハッブル宇宙望遠鏡が撮影し、その起源に関する謎が深まった。
天の川銀河をはじめとする銀河には、数十万個の古い星からなる球状星団が多数散らばっている。だが、それらがいつ、どのように誕生したのかは解明されていない。
天文学者たちは天の川銀河の観測に基づき、球状星団が銀河の中でも古い星が多数存在する領域で形成されると考えていた。しかし、地球から46万光年の距離に位置するろ座矮小銀河をハッブル宇宙望遠鏡が観測したことで、その見方は覆されることとなった。「Astrophysical Journal」誌に掲載された論文によると、ろ座矮小銀河には4つの球状星団が含まれるが、ホスト銀河には古い星が決して多くないというのだ・・・
天の川銀河をはじめとする銀河には、数十万個の古い星からなる球状星団が多数散らばっている。だが、それらがいつ、どのように誕生したのかは解明されていない。
天文学者たちは天の川銀河の観測に基づき、球状星団が銀河の中でも古い星が多数存在する領域で形成されると考えていた。しかし、地球から46万光年の距離に位置するろ座矮小銀河をハッブル宇宙望遠鏡が観測したことで、その見方は覆されることとなった。「Astrophysical Journal」誌に掲載された論文によると、ろ座矮小銀河には4つの球状星団が含まれるが、ホスト銀河には古い星が決して多くないというのだ。
デンマークにあるオーフス大学の天文学者で論文の共著者でもあるフランク・グランダル(Frank Grundahl)氏は記者声明で、「これまでの有力説が誤りだったと言わざるを得ない」と述べた。
◆ジェネレーション・ギャップ
天の川銀河の球状星団が含む星は2つの世代に分けられ、そのほとんどが若い世代に属すると考えられている。天文学者たちは、古い星の多くがある時点で銀河からはじき出され、古い星の集団を形成するとの学説を立てていた。
この説が正しければ、ろ座矮小銀河の球状星団には古い星が多数存在するはずだが、予想は裏切られた。
「存在すれば見えるはずの星が写っていなかった」とグランダル氏。「はじき出された星をろ座矮小銀河が隠せるような場所はなく、過去の星団が現在よりそれほど大きかったとは考えにくい」。
天文学者たちは振り出しに戻り、美しい球状星団の起源を模索することになる。
◆自分の目で
天体物理学者たちにとっては悩ましい事態かもしれないが、天体観測を趣味とする人々が球状星団を楽しむことはできる。ろ座矮小銀河やその球状星団は、大型の望遠鏡や長時間露光画像を使わない限り見ることはできない。しかし、ここ天の川銀河にも美しい球状星団が存在する。まさに今、夜空を美しく飾っているM15(メシエ15)だ。双眼鏡や小型の望遠鏡があれば、すぐにでも裏庭から眺められる。
M15は6.2等級の明るさで輝きを放ち、双眼鏡越しには毛羽立った球状の塊のようだが、小型の望遠鏡を使えば目がくらむほど明るい星団を見ることができる。地球から約3万4000光年の位置にある直径170光年のM15には、推定40万個の星が含まれている。
最近になって、チャンドラX線観測衛星は密度が高い中心部からの強い放射を観測している。つまりこの美しいM15の中心核には、ブラックホールが存在する可能性があるという。
Photograph by ESO/Digitized Sky Survey 2