米・黒人青年射殺:デモ隊がパトカー破壊 警官不起訴抗議

毎日新聞 2014年11月25日 13時32分(最終更新 11月25日 13時53分)

白人警官の不起訴決定に反発する抗議デモに対して警官隊から放たれた催涙ガスの中を走って逃げる市民ら=米中西部ミズーリ州ファーガソンで24日、ロイター
白人警官の不起訴決定に反発する抗議デモに対して警官隊から放たれた催涙ガスの中を走って逃げる市民ら=米中西部ミズーリ州ファーガソンで24日、ロイター

 ◇郡大陪審が「起訴に相当する理由がない」

 【ニューヨーク草野和彦】米中西部ミズーリ州ファーガソンで今年8月、丸腰の黒人青年のマイケル・ブラウンさん(当時18歳)が白人警官に射殺された事件で、同州セントルイス郡の大陪審は24日、「起訴に相当する理由がない」として、警官の不起訴を決定した。同郡のロバート・マクロク検察官が発表した。

 米CNNテレビの映像では、数百人がファーガソン警察前に集結しており、決定に抗議するデモ隊がパトカーを破壊。車やゴミ箱から火が上がり、一部が商店に押し入ろうとする様子が映った。警察側は催涙弾を発射して応酬。装甲車も出動しているようだ。負傷者がいるかは不明。

 オバマ大統領は同日夜、ホワイトハウスで声明を発表し「米国は法治国家だ。大陪審の決定を受け入れる必要がある」と訴えた。一方で「ファーガソンの状況は、米国が国として直面している問題を物語っていると認識すべきだ。法執行機関と有色人種の人たちとの間には深刻な不信がある」と指摘した。

 事件は8月9日、友人と車道を歩いていたブラウンさんに対し、パトカーの白人警官が歩道に移動するよう注意。2人はパトカーのドア越しにもみ合いとなり、警官が車外に出た後、ブラウンさんが拳銃で撃たれ死亡した。

 ブラウンさんは両手を上げ無抵抗の姿勢を示していたとする目撃証言がある一方、警官側は、ブラウンさんが突進してきたために発砲したとして、正当防衛を主張していた。

 大陪審はセントルイス郡裁判所が無作為に抽出した12人の住民で構成され、内訳は9人が白人、3人が黒人。郡検察官が提出する証拠に基づき非公開で審理し、決定には12人中9人以上の同意が必要だった。

 ファーガソンでは射殺事件直後、黒人らのデモが発生、重武装で鎮圧にあたった警官隊への反発もあり、デモ隊の一部が暴徒化した。

 大陪審の決定後の混乱に備え、ニクソン州知事は今月17日に非常事態を宣言。米メディアによると、商店が窓に板を打ち付けて防御し、デモを想定し24日の休校を事前に決めた学校があるなど、緊張が高まっていた。

 一方、大陪審の決定とは別に、司法省が警官を公民権法違反の疑いで捜査しており、過剰な武器使用など公務員職権の乱用にあたらないかを調べている。

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