長野北部地震:小谷村の人々「斜面の家にはもう戻れない」
毎日新聞 2014年11月24日 21時36分(最終更新 11月25日 00時04分)
長野県北部を震源として22日夜に発生した地震で、最大の被害が出た白馬村の北側に隣接する小谷(おたり)村でも、家屋4棟が全壊するなど大きな被害が出た。同村は谷川沿いの集落が多く、土砂崩れで損壊した住宅もある。被災した家はゆがみ、住民らは「斜面の家にはもう戻れない」と嘆く。24日も余震が続き、住民たちは避難所で不安な生活を強いられている。
小谷村中土には、同村で全半壊した家屋の9割が集中する。地面に亀裂が入り、谷の両脇の斜面には小規模な土砂崩れの跡があちらこちらに見える。家屋裏の斜面の土砂が押し寄せ、全壊している住宅もある。崩れかけた斜面では5、6本のスギが傾いていた。
約65人が避難する中土観光交流センター=同村中土=に身を寄せている農業、内山徹雄さん(76)の築100年を超える木造2階建ての家は半壊した。窓ガラスが割れ、内装ははがれ落ち、骨組みがゆがみ、隙間(すきま)から外が見える。「あの家には戻れない」と心配そうだ。
谷川沿いの県道から脇道にそれ、約10分ほど歩いて登った所に住む大工、益沢忠夫さん(74)の家もゆがみ、風呂場が壊れた。「雪に耐えるため、太い柱を使って頑丈な家を建てたが、今回は耐えられなかった」と話す。
中通り公民館=同=の避難所代表、鷲沢美幸さん(47)は「豪雪地帯だからプレハブの仮設住宅では生活は無理です。いつまで避難生活は続くのか」と不安げに話した。
県によると、小谷村の住宅被害は全壊4棟、半壊21棟。24日午後6時現在で161人が9カ所で避難生活を続けている。同4時現在で237世帯が断水。土砂崩れなどによる通行止めは国道148号や県・村道で計14カ所に上る。
JR大糸線は、土砂崩れや地盤の液状化により信濃大町−糸魚川間で運転を見合わせていたが、24日午後6時25分、平岩−糸魚川間で運転を再開。信濃大町−白馬間は25日中の復旧を目指す。土砂が一部線路に流入した白馬−南小谷間は復旧のめどが立っていない。【荒木涼子、竹内紀臣】