<衆院選 明日を探して>「核のごみ」争点に 処分場探し、翻弄される幌延
(11/24 07:01)
幌延町内をデモ行進する「11・23集会」の参加者。人通りのまばらな町中心部にシュプレヒコールが響いた
【幌延】日本原子力研究開発機構が高レベル放射性廃棄物の処分技術を研究している宗谷管内幌延町で23日、「11・23幌延デー北海道集会」が開かれ、核のごみの道内への持ち込みに反対する全道の労組や市民団体の関係者が町内をデモ行進した。安倍晋三首相の経済政策アベノミクスが主要争点とされる衆院選。その一方で選挙後は原発が再稼働し、原発から出る核のごみの処分場探しが本格化する見通しだ。「争点は経済だけじゃない」―。集会の参加者たちは焦りを募らせていた。
「幌延を核のごみ捨て場にするな」「泊原発の再稼働を許さない」。そんなシュプレヒコールを上げながら、主催者発表で約900人が、人口約2500人の幌延町の中心部をデモ行進した。主催した道平和運動フォーラムの長田秀樹事務局長(55)は「幌延をはじめ道内がなし崩し的に処分地にされることが危惧される」と危機感を訴えた。
年明けにも九州電力川内原発(鹿児島県)が再稼働する。原発が動けば核のごみが増える。国は4月に決定したエネルギー基本計画で核のごみの処分を原子力政策の最重要課題と位置付けており、来年4月の統一地方選後にも処分場の「適地」を示すとみられる。
核のごみの処分地が決まらない中で、1980年代に幌延町が関連施設を誘致して以降、幌延は30年以上、国策に振り回されてきた。「11・23集会」は、85年11月23日、当時の動力炉・核燃料開発事業団(動燃)が施設建設に向けた調査を地元住民の反対を押し切って強行した日を忘れないよう毎年開いている。
この30年間で、推進側は動燃から核燃料サイクル開発機構、日本原子力研究開発機構と名前も担当者も変わったが、反対派の顔ぶれはほとんど変わらない。当初から反対運動の先頭に立つ元幌延町議の川上幸男さん(85)は「原発も核のごみも国は『責任を持つ』というが、政権自体がコロコロ変わる中でどう責任を持つのか」と憤る。2011年の東京電力福島第1原発事故の前後には町商工会の関係者が処分場誘致に動いた。「衆院選は正念場だ」と川上さんは思っている。
一方で、地元の関心は高くない。実際に核のごみが来るのは困るが、同機構の幌延深地層研究センターで行われている研究だけなら町の経済のためにも続けてほしいという町民も少なくない。
25日に告示される幌延町長選は現職が引退し、新人の前町議会議長の無投票当選の公算が大きくなっている。前議長は同センターについて「(放射性廃棄物の持ち込みなどを禁じた道、町、機構の)三者協定を順守する」と述べ、最終処分場の候補地選定に向けた文献調査を国が申し入れても拒否するなど、現町長の方針を踏襲する意向。核のごみ問題は争点になりようもなく、集会参加者も町民は数人だけ。デモとすれ違った60歳代の女性は「外から来た人にとやかく言われたくない。そっとしておいてほしい」とつぶやいた。
それでも、生活クラブ生協の小池香織さん(39)は「せっかく選挙があるんだから、経済だけでなく、いろんな争点があることを知ってもらうきっかけにしたい」と札幌から駆けつけた。旭川大の山内亮史学長(73)は強調する。「白紙の委任状を渡してしまえば衆院選後に『予定通り』再稼働も処分地選びも進む。粘り強く声を上げ続け、原発や核のごみの問題を争点に押し上げないといけない」(報道センター 関口裕士)
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