衆院選公約:民主はアベノミクス転換主張、自民はきょう決定
11月25日(ブルームバーグ):衆院選公示まで1週間となり、各党は選挙で掲げる重点政策を相次いで発表している。民主党は政権公約(マニフェスト)で安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」は格差を固定化・拡大したとして転換を主張。日本銀行には国民生活に十分留意した柔軟な金融政策を求めた。
民主党の海江田万里代表はマニフェストを発表した24日の会見で、「アベノミクスをこのまま続ければ、働く人、年金生活者、学生から中小企業まで生活は苦しくなるばかりだ。この流れは変えなければならない」と述べ、「過度な異次元の金融緩和とは一線を画す」とも話した。
12月2日公示、14日投開票の衆院選。安倍首相は21日の会見で、アベノミクスの継続の是非を選挙で問う考えだと表明している。これに対して野党第1党の民主党もアベノミクス批判を前面に出して戦う構図となった。自民党は25日の総務会で政権公約を決定して発表する。
共同通信が19、20の両日行った全国電話世論調査では、現時点で比例代表の投票先は自民党が25.3%で、民主党が9.4%だったが、「まだ決めていない」も44.4%いた。
民主党のマニフェストは、安倍首相が1年半延期方針を発表した消費税率の10%への増税について同様に延期する方針を示したが、再増税の時期は明記しなかった。海江田氏は会見で、集団的自衛権行使を容認する閣議決定、中韓関係、原子力発電所再稼動などをめぐっても自民党に論戦を挑む考えを示している。
与党自民党はウェブサイトで公表している政策パンフレットでは就業者数の増加などを示し、アベノミクスの成果として列挙。エネルギー価格の高止まりなどの物価動向に十分配慮し、足元の経済状況を改善するため、力強い景気対策を速やかに実施すると主張している。
公明党は食料品などを対象とした消費税の軽減税率の実現を前面に打ち出している。山口那津男代表は21日の街頭演説で「軽減税率をやるべきだと一貫して訴えてきたのは公明党だけだ。何としてもこれをやるために勝たなければならない」と訴えた。
野党再編民主党は野党第2党の維新の党と5項目の共通政策を発表するなど連携を模索している。これまで他の少数野党で活動していた議員が衆院選に向けて民主党に入党するなど野党再編に向けた動きも出てきた。
民主党は解党が決まったみんなの党から山内康一前衆院議員、小沢一郎氏率いる生活の党にいた小宮山泰子前衆院議員らを公認候補として擁立することを発表した。
維新の党は22日にマニフェストを発表。アベノミクスの成長戦略について「規制改革は既得権益の壁に阻まれて手つかずのまま」と記した。民主党内では意見の割れているカジノを含む統合型リゾート(IR)についても実現するための法制度を整備するとしている。
維新の党はまた、日本たばこ産業(JT)、日本郵政、NTT、日本政策金融公庫、日本政策投資銀行、国際協力銀行(JBIC)などの株式を原則全て売却し、総額約25兆円の財源をねん出することもマニフェストに盛り込んだ。
次世代の党は政策集で、自主憲法の制定や原子力技術の維持などを基本政策とした。共産党の小池晃副委員長(政策委員長)は23日、NHKの日曜討論で、消費増税は延期ではなく中止するよう求めた。
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更新日時: 2014/11/25 08:51 JST