図で読みとく!「消費増税」に関する大誤解

日本の借金は世界最悪と言うけれど……

上の図で、G-T(政府支出-税金)に注目してみましょう。政府支出が税金より上回ると、財政赤字です。その原資は、一人ひとりの個人、1件1件の企業の貯蓄Sです。つまり、われわれの民間保険・預貯金・株・債券投資(国民の財産)が、国債(政府の借金)に回っています。これが「政府の借金=国民の財産」といえるゆえんです。

個人で国債を購入する人は少ないのですが、私たちの預貯金・保険金を預かった金融機関が国債を購入しているのです。

日本の金融機関の、国債からの利子所得は15.7兆円(2012年度)、3大メガバンクは業務利益の3割を債券市場から得ています(13年度3月期決算)。

ですから、「政府の借金増=国民の財産増」であり、「国債は孫の世代の負担=孫の世代の財産」「1人当たり615万円の借金(財務省Web)≧1人当たり566万円(海外の8%を除く)の財産」となるのです。

国債は負担を将来に転嫁しない!

近代経済学の父とも呼ばれているアメリカの経済学者ポール・サミュエルソンは、かつて次のように述べました。

「国債は負担を将来に転化するというのは、1000回繰り返して言うが、間違いだ」

国債(G-T)が発行される場合、貯蓄Sが原資です。つまり、投資分Iを、国債分(G-T)に回しているだけです。

逆に、国債(G-T)を発行せず増税すると、貯蓄S分(もしくは、消費Cが減)を税Tに回すことになります。

つまり、財政赤字(国債)に頼るということは、「貯蓄S(消費C)を税Tに回す」か、または、「民間投資Iを政府投資(G-T)に回すか」という選択です。あくまでも、今年のカネの配分問題で、将来のカネを今使えるわけではないのです。

次ページ国債暴落を防ぐために、消費増税が必要?
関連記事
ディスカッション
コメント
Topic Board トピックボード
このページのトップへ
Trend Library トレンドライブラリー
Access Ranking
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • いいね!
トレンドウォッチ
先手必勝の就活

選考時期が大幅に“後ろ倒し”される、2016年卒の就活。だが、企業はもう動いている。売り手市場でも油断禁物。年明けからでは遅い。どこよりも早い就活情報で万全の準備を。

巻頭特集:
ファンドはなぜ電機を買うのか

Videoハズブロ、ディズニーとの関係は大丈夫