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フリースクールに支援求める声相次ぐ
11月24日 20時00分

フリースクールに支援求める声相次ぐ
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不登校の子どもたちが通うフリースクールの実態を把握し、必要な支援策を検討しようと、文部科学省が初めてフォーラムを開き、参加者からは財政面での支援などを求める声が相次ぎました。

24日文部科学省で開かれたフォーラムには、フリースクールを運営している人やフリースクールに通っている子どもたちなどおよそ500人が集まりました。
初めに下村文部科学大臣があいさつし、「小中高合わせて17万人を超える子どもたちが不登校になっているが、フリースクールに対する支援はこれまでほとんどしてこなかった。21世紀に必要な人材を育てるには、既存の学校教育だけでなく、多様な教育機関を活用し、一人ひとりの能力を引き出すことが大切だ」と述べて、来年度中に国としての支援策をまとめていきたいという考えを示しました。
このあと、各地の取り組みが報告され、長崎県のフリースクールに通う14歳の女子生徒は「テストなどで競争を強いられることで自己否定してしまい、不登校につながった。フリースクールでの活動を通じて、自分が役に立っていると感じることができている」と話しました。
このフリースクールでは、行政からの財政支援はなく、利用者に月に3万円を負担してもらっているということで、運営するNPOの理事長は「利用料を支払えないことを理由に、通うことを諦める子どももいる」として財政面での支援を求めました。
文部科学省は近く有識者会議を設置し、24日のフォーラムで出た意見も踏まえて、必要な支援策を検討することにしています。

フリースクール巡る動き

フリースクールは、不登校になった子どもたちを対象に、学習の支援や体験活動を行う民間の施設です。
文部科学省によりますと、昨年度、年間30日以上学校を休んだ児童生徒のうち、病気や経済的理由での欠席を除く「不登校」の小中学生は12万人近くと6年ぶりに増加し、高校生も5万5000人余りが不登校となっています。
文部科学省は、3年前に行われた専門家の調査などから、フリースクールは全国におよそ400か所あるとみていますが、どのくらいの子どもたちが利用しているのかや詳しい活動の内容など実態は把握していません。
フリースクールは法律上、学校とは認められていないため、国からの財政支援はありません。
施設によっては、場所を自治体から無料で借りるなど料金がほとんどかからないようにしているケースもあれば、月々数万円が必要な施設もあり、運営方法や財政状況、それに活動内容にはばらつきがあるとみられています。
文部科学省は、不登校の子どもたちの受け皿となっているフリースクールへの支援を考えようと、先月、省内に検討チームを発足。
24日のフォーラムは、実態把握の一環で、市販されているフリースクールのガイドブックなどを基に、フォーラムへの参加を呼びかける知らせを郵送したところ、およそ250か所から参加連絡があったということです。
文部科学省は近く有識者会議を立ち上げる予定で、フォーラムの参加者などにアンケート調査を行って実態を把握するとともに、通常の“学校”とは違うフリースクールならではのよさを損なわないような支援の在り方を検討していくことにしています。

フリースクールの現場は

鳥取県米子市にある「米子フリースクール」は、元高校教諭の八田定夫さんが4年前に設立しました。
今は、15歳から19歳までの25人が通っています。
マンションの一室が教室となっていて、生徒たちは好きな時間に来て勉強します。
教えるのは、八田さんのほかに教員免許を持っていない女性1人です。
カリキュラムはなく、学ぶ教科もばらばらです。
生徒の1人、17歳のマキさん(仮名)は2年前、高校1年生の時に不登校になり、このフリースクールに通うようになりました。
高校にはなじめなかったマキさんでしたが、ここでは同じような経験を持つ仲間に、徐々に心を開くことができるようになったといいます。
このフリースクールは、長野県の通信制高校と提携していて、マキさんたちはその高校の生徒と位置づけられています。
必要な単位を取得すれば、高校卒業の資格を得ることができます。
マキさんも高卒の資格を取得できる見込みで、来年の春から大学に進学することが決まりました。
マキさんは「この場所がなければ今の自分はありません。フリースクールは、人生の基礎を築いてくれるあたたかい場所だと思います」と話しています。
不登校の子どもたちのよりどころとなっているフリースクール。
しかし、法律上、学校として認可されているわけではないため、行政からの財政的な支援はありません。
このフリースクールの場合、生徒からの月謝は1人3万8000円。
そのうち2万円を提携先の高校に支払っていて、残りでやりくりしています。
八田さんは「不登校の子どもたちを支える場所として、フリースクールを認めてもらい、取り組みが広がっていくように、何らかの支援を考えてもらいたい」と話しています。

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