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「この石が、翌日から素手で触ることもできない“お石様“となろうとは…」発見者談
ラブストーリーと同じように隕石はいつだって突然である。突然であるがゆえに隕石は珍しがられる。
島根県の美保関には近くに落ちた隕石を展示するメテオミュージアムがある。 日本各地に隕石展示はあるが、ここのいいところは隕石が落ちたことをまるごと展示してる点だ。隕石が落ちた町に行く。
大北栄人(おおきたしげと)
1980年大阪出身。動画コーナーのプープーテレビでは管理人も。コナンが好きなわけではありません。フリーでやってます。> 個人サイト Twitter(@ohkitashigeto) 鼻ばかりある地域。島根半島のリアス式海岸
島根と鳥取の上のぎざぎざ隕石が落ちたのは島根県松江市美保関町。
鳥取の米子空港をおりて境港に向かうとそこからバスが出ている。バスは2本乗りつぐ。何もないバス停で一時間待ったりする。 あの取材一日がかりだったなという場所はたいてい半島にある。今回も島根半島。岬のように突き出た地形を鼻というが、鼻ばかりある半島である。 漁港のある美保関。観光するにはとてもいい町
青石畳と港の街美保関は観光するにはとてもいいところのようだ。前日に米子の飲み屋でも私はいつもここに連れてくと店員さんに教えてもらった。青石畳や古い神社、港町の雰囲気がとてもいいらしい。
訪れてみるとたしかに静かでよさがにじみ出るいい街だった。そこに隕石のでるまくはない。しかし仕方がない。落ちたのだから。 青石畳の町
しめ縄太すぎ系神社もある
隕石の写真が食堂にかざられていた昼ごはんに魚をたべようと思ったが1500円の定食しかなかった。こりゃ仕事中に食べるには浮かれているなと躊躇してると近くに丼もの出す店があるからと別の店を紹介された。たしかに丼はあったが親子丼だった。ああ、浮かれたい…。
あきらめて丼を出す店の1500円の定食を食べているとさっきの店のおばちゃんが入ってきた。おまえ結局定食食ってるじゃないかという目が気になる。 気まずい。目をそむけた先には隕石の写真がかざられていた。 きいてみると「まあ、隕石見に来たんですか? そうですかそうですか」と歓待された。その後会話はつづかない。特に何の思いもないようだ。 写真の下に何か詩のようなものが書かれている。隕石についてのものですか? ときいてみると「ちがうんですよ、母が書いたものなんです」という。読んだ。隕石についてのものだった。なぜ否定したのだ。 隕石。その突拍子のなさ。ある日突然降ってきてその突拍子になさに熱狂したものの、突拍子もないものだからこそどう距離をとっていいのか難しいのだろう。 昼食をとった店の写真。「暗いみ空の流れ星 どこへ何しにゆくのでしょう 荒野の果てのみずうみに お水を飲みにまいります」店のお母さんのお母さん作
メテオプラザへ20年くらい前、町では温水プールやフェリーのターミナルを備えた施設を建てようとしていたそうだ。その頃ちょうど近くに隕石が落ちたので展示するようになった。
町の公共施設、メテオプラザの誕生である。その名もズバリそのままの隕石プラザ。形もすごい。隕石が建物のてっぺんに乗っかっている。 ちょうど落ちたというには、ここまでフィーチャーするかというほどに隕石である。 メテオプラザ。上部のまゆ型の建物、あれが隕石のかたちそのままなのである
たとえばホールインワンをとった人は記念テレカを配ったりする。もし町に隕石が落ちてきたとき、私達はどれくらいはしゃいでいいものなのだろう。
この町では隕石を展示し、町の公共施設を隕石化し、そして隕石まんじゅうを作った。よく売れたそうだ。 そのルール、落ちてても有効なのか
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