この著者に聞け
2014年11月25日(火) 高城幸司

社内政治のない会社などひとつもない! 課長に求められるのは、「人を動かす力」=「政治力」だ

『社内政治の教科書』第2回

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Photo by Think stock

「社内政治」を、旧態依然とした日本企業に特有のものと考えている人もいます。しかし、アップルなどの欧米先進企業で熾烈な社内政治が繰り広げられていることは、よく知られていることです。人が集まれば、そこには「政治」が生まれます。社内政治は「必要悪」ではなく、生きるうえで避けることができない「現実」なのです。

第1回はこちらからご覧ください。

人が集まれば、そこには「政治」が生まれる

「社内政治は必要悪である」と言う人がいます。しかし、私は違うと思います。会社は、人の集まりです。そして、人が集まれば、そこには政治が生まれます。政治そのものは「善」でも「悪」でもない。それは「必要悪」ではなく、人間が生きていくうえで必ず遭遇する「現実」だと思うのです。

もちろん、「1+1=2」のように、ロジカルに明確な答えが導き出せるような問題については、通常、政治が入り込む余地はありません(ときには、政治力によって「白」が「黒」になるようなこともありますが……)。しかし、人間関係のなかで起きる問題のほとんどは、そういうものではありません。

身近な例でいえば、ランチで何を食べるかという問題もそうです。同僚とふたりでランチに出かけたとします。あなたは、イタリアンが食べたいとする。しかし、相手はカレーが食べたい。どっちのお店に行くか? そこに、ロジカルな答えはありません。これだって政治問題です。両者の利害が一致しない問題について、意思決定をしなければならないのですから……。

このような場面で、事を決するのは「力関係」です。相手が先輩で発言力が強ければ、きっとあなたは「カレーにしましょう」と譲るでしょう。あるいは、先輩が「君が食べたいものでいいよ」と言えば、あなたはそれに従うでしょう。もし、その力関係を無視した言動をすれば、そこにコンフリクト(衝突・葛藤)が発生することになるはずです。

ただし、常に先輩のほうが発言力が強いとは限りません。たとえば、あなたの業績が格段によく、先輩があなたを脅威に感じていれば、あなたのほうが発言力をもつかもしれません。発言力は固定的なものではなく、状況次第で両者の間を行ったり来たりするものです。

ともあれ、こういう場面においては、両者の力関係を軸に物事は決まっていきます。これは、政治そのものだと私は思います。ランチですらそうなのですから、私たちは日々刻々、ほとんどあらゆる場面で、お互いの力関係を推し量りつつ集団生活を営んでいると言えます。集団の人数が増えれば、それだけ状況は複雑になりますが、力関係で物事が決まっていく原理に変わりはありません。

「課長」から始める社内政治の教科書高城幸司著
(ダイヤモンド社、1620円)
部署間対立、予算・人員の分捕り合戦、横暴な上司に反抗的な部 下……。どんな会社にも「社内政治」はあります。そのややこしい現実のなか、関係者の利害を調整しながら、巧みに物事を進める力(=政治力)を身につけな ければ、「課長」の仕事は務まりません。「政治力」こそが、課長の仕事の中核なのです。しかし、これまで、誰も、この極めて重要な「スキル」について教え てくれる人はいませんでした。そこで、リクルートで社内政治の実践経験を積み、人事コンサルタントとして独立してからは、数多くのクライアントの「社内力 学」と管理職の「本音」に触れてきた著者に、「社内政治のノウハウと心構え」をまとめていただきました。社内でプレゼンスを高め、自分が正しいと思うこと を実現する「政治力」が身につく画期的な一冊です。

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