路上生活者が販売の雑誌 ライブで支援11月22日 9時23分
音楽を通して路上生活者などを支援しようというコンサートが12月7日、都内で開かれます。
路上生活者の自立を支援する雑誌のPRやホームレスの人たちなどへの偏見をなくそうと始まり、ことしで5回目。
プログラムには社会問題を考える座談会なども盛り込まれ、主催するシンガーソングライターは「元ホームレスの方や雑誌の販売者もいますので、一緒に音楽を楽しみながら心の距離を縮めていただきたい」と話しています。
このイベントは「りんりんふぇす」と名付けられ、シンガーソングライターの寺尾紗穂さんの呼びかけで始まりました。
ことしは寺尾さんをはじめ、ビッグイシューの販売者もメンバーに加わるダンスグループ「ソケリッサ」などのライブに加え、路上生活者の支援者などを交えて「幸せになれる住まいとは?」をテーマにした座談会なども開かれます。
山谷での出会いきっかけに
コンサートのきっかけは、寺尾さんが2003年、東京・山谷の夏祭りに訪れたときの生活保護を受ける男性との出会いでした。
男性は「放浪画家」を名乗る元土木作業員で、親しみやすさと表現へのこだわりに音楽と共通する姿勢を感じ、この出会いから「アジアの汗」という曲が生まれました。男性は2008年に突然亡くなり、寺尾さんがこの特別な出会いの意味を考えながら「何かしないといけない」と思っていたときに「ビッグイシュー」の存在を知りました。
ビッグイシューは、イギリスで誕生した、売り上げの一部で路上生活者の自立を支援している雑誌で、日本では平成15年に創刊されました。
路上生活者みずからが販売し、売り上げの一部は収入になります。この雑誌の趣旨や内容に感銘を受けた寺尾さんは、販売を支援しようと、2010年に初めてコンサートを開きました。
「1、2年でなくコンサートを10回続けようと決めた」と語る寺尾さん。
翌年には、亡くなった男性の絵を見ようと改めて探した際、導かれるように絵を保管していた路上生活者を支援する団体のリーダーや若手僧侶の団体に出会い、彼らの協力でコンサートの内容をがらりと変えて座談会などを盛り込みました。
「思いがつながる、思いが導いた不思議な縁」と寺尾さんは振り返ります。
音楽を楽しみながら心の垣根なくして
コンサート会場には座布団なども置かれ、和やかな雰囲気作りがされます。
家族連れなどのリピーターも多く、去年は泣く子どもを会場の外に連れ出そうとした母親をアーティストが呼び止めて泣き声に合わせて即興でギターを演奏する一幕もありました。
また、会場では、路上生活者の支援団体によるおにぎりの炊き出しなどに加え、ビッグイシューのバックナンバーなども販売されます。寺尾さんは、「周りに聞くとビッグイシューを知っていても買いにくいとか、どんな雑誌か知らないから買いたくないという方もいますが、コンサートを通じてとにかく1度読んでほしいと思います」と話します。
「それとホームレスの方への偏見の解消ですね。少し怖いとか話しかけにくいという人も音楽ファンの中にはいると思いますが、会場にいる元ホームレスの方やビッグイシューの販売員さんと一緒に楽しみながら心の垣根をなくしてもらえたらと思います」。
「りんりんふぇす」は、来月7日午後2時半から、東京・外苑前の梅窓院祖師堂で開かれます。
入場料や詳しい内容は、コンサートのホームページ(http://singwithyourneighbors2014.jimdo.com/)に掲載されています。