「この先どうなるかはわからない。今年以上に挑戦したい気持ちが出てくるかもしれない。FA宣言したので、次は4年後。どうなっているかわからないし、今しか聞けないこともある。ここが、人生が決まる場所かもしれない。今年も来年もちゃんと考えて、納得して決められたら」
金子はメジャー移籍を諦めていないことを強調した。オリックスに愛着もあるが、夢の扉が閉じられないように、来オフにもポスティングを容認してくれる球団に所属することが最優先。今後、獲得意思がある全球団からの条件をそろえてから、決断を下すことになりそうだ。
金子FA・これまでの経緯
★10月22日 ワールドシリーズ観戦のため極秘渡米
★同27日 帰国後、米大リーグ挑戦の希望を初めて明かした
★11月11日 国内FA権行使を表明。メジャー移籍の希望も捨てず「すべての可能性を考えたい」。ソフトバンク、阪神、中日、楽天などが獲得に名乗り
★同20日 日米野球が終了。代理人がオリックス以外の国内11球団にも条件提示を求める“逆オファー”を出していたことが判明
★同21日 ソフトバンク・後藤球団社長兼オーナー代行が、将来の米大リーグ移籍を前提とした交渉を行わない姿勢を明言。阪神も同様の方針
★同22日 DeNAが、米大リーグ移籍希望を含め金子の希望を尊重した形での交渉を検討していることが判明
ポスティングシステムとFA
ポスティングシステムは、海外FA資格取得前に米球界に移籍できる制度。日本球団が譲渡金を上限2000万ドル(約23億6000万円)で設定し、その額を支払う意思のある全ての大リーグ球団が選手と交渉できる。現行の野球協約では、国内FA宣言選手のポスティング利用を制限していない。
FAは、資格を満たした選手がどのチームとも自由に契約を結ぶことのできる制度。国内球団に移籍した場合には、移籍先球団は前球団に対し年俸ランクに応じて金銭もしくは選手で補償しなければならない。FA権を行使した選手の権利再取得は4年後。
金子 千尋(かねこ・ちひろ)
1983(昭和58)年11月8日生まれ、31歳。新潟県出身。長野商高からトヨタ自動車を経て2005年ドラフト自由枠でオリックス入団。07年途中から先発に転向し、10年に17勝を挙げ最多勝。今季も最多勝(16勝)で沢村賞に選出された。1メートル80、77キロ。右投げ左打ち。既婚。今季年俸2億円。背番号19。
(紙面から)