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前回からの続き)

石田:そうした女性社員の特徴を踏まえて、上司はどう接すればいいでしょうか。

 例えば最近、企業の経営層や部課長から私に寄せられる悩みとして多いのは、優秀な女性社員を重要なポジションに付けたり、重要なプロジェクトを任せたいのだけれども、「私には無理です」と断られてしまう、ということです。

 確かに女性社員はどちらかというと、「私にはできません」とか「ちょっと難しいと思います」と尻込みしてしまう人が多いかもしれません。でも、そこでもう1回プッシュして仕事をやってもらうと、実際にはできる。非常にもったいないなと思うんです。

藤井:おっしゃる通りで、女性社員は男性社員よりも「安心」という要素をほしがる傾向があります。仕事を任せようと思った男性の上司からすれば、やる気がないのではと感じて、じゃあほかの部下に依頼しようという気持ちになりますよね。

 だからといって、女性社員の本心としては、口で言うほど怖がっているわけでもなく、やる気がないわけでもありません。実際、私は男性管理職向けの研修では「女性部下に無理ですと言われたら、そこでもう一押し、お願いします」とアドバイスしています。さきほど石田さんがおっしゃった通りのことなんです。

キャリアコンサルタントの藤井佐和子氏(写真:皆木 優子)

石田:仕事を依頼するいうことは、その部下に能力があると信じて、期待をしているわけですよね。もしかしたら女性はいきなり100点満点の結果を出そうと頑張る傾向が強いのかもしれません。でも、上司はたいがいそこまで高いレベルのことを望んでいるわけではなく、80点レベルの普通の結果を求めているだけです。

藤井:そうですね。「あなたができると思ったからお願いしたんです」と声をかけ、バックアップ体制を少し厚めにしたうえで、ぜひ仕事を任せてみてほしいです。

 また、重要なことは、日ごろから情報共有を丁寧に実行して、仕事の目的やその女性部下に期待している役割、成果を明確に伝えることだと思います。

 私自身、女性で仕事がよくできる人の環境を調べていくと、上司とのコミュニケーションが密なケースが多いですね。そしてその上司も、意図的に情報共有をしっかり実行している様子でした。

 もう一つは、男性・女性の区別なく、能力や特性に応じて平等に仕事を振ることです。女性は男性以上に公正さや公平さを重んじる傾向が強いので、この点は重要だと思います。「女性だからあまり大変な仕事はやらせない方がいいのでは」と妙な配慮をしてしまう男性管理職の方がいらっしゃいますが、そういう配慮ははっきり言って不要です。

石田:部下との付き合い方全般に関わるシンプルな注意点ですが、つい頭から抜けてしまいがちな基本とも言えそうですね。

藤井:私は新卒で入社した1社目がカメラメーカーで、転職した2社目がベンチャー企業でした。2社目で働いていて、自分を見ていても、また他の女性社員を見ていても、「男女の違いは仕事には関係ないな」ということが腑に落ちました。

 ベンチャー企業はとにかく人手が足りないので、男女の区別なく普通に仕事が振られます。ちゃんと取り組めば、男女の区別なく結果は出せる。当時の私は、そうした経験が自分に対する自信につながったのだと思います。


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