※イメージ画像:「huffingtonpost.com」より

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 世界的に有名なイタリアのタイヤメーカーのピレリ社が1964年から発行し続けているカレンダーシリーズ『The Cal』。毎回、その時代を代表する写真家が、その時代を代表する一流モデルや女優たちをモデルとして起用して制作するもので、それに参加することはファッション写真界における最高の栄誉とされている。

 近年では、カルバン・クラインの下着広告で一躍有名になったブルース・ウェーバー(二度起用されている)や、裸のジョン・レノンがオノ・ヨーコに抱きつく写真などで知られるアニー・リーボヴィッツ、そして最近では、モデルからセクハラ被害を訴えられるほどの過激な演出ながらも、オバマ大統領をはじめ世界中のセレブ御用達となっている鬼才テリー・リチャードソンなどが写真家として起用されている。

 その最新の2015年版のカレンダーの写真が、先日、イタリアはミラノにあるピレリ社が運営する現代アート施設『ハンガー・ビコッカ』にてお披露目されたのだが、その写真が超絶にセクシーだと話題になっている。

 写真家は、長年ファッション写真界を牽引してきた天才、スティーブン・マイゼル。80年代から「VOGUE」の表紙やトップ・ブランドの広告、そして世界に衝撃を与えたマドンナの写真集『SEX』などでさまざまな伝説を生み出してきた彼が今回、カレンダーのテーマとしたのは「フェティシズム」。

 「官能に浸る12人の女性を一人一人異なるイメージで描き、12枚のポスターのようなカレンダーを制作したかった」とマイゼル自身がプレスリリースの中で語るとおり、12人のモデルたちはそれぞれ異なる世界観ながらも、皆、パンツやガーター、ソックスなど、身にまとう服の一部分がラテックス製のゴム素材になっており、胸や股、脚を覆うゴム特有の艶や張りがそこはかとない官能を醸し出している。

 筆者的に特におすすめなのは、上半身裸でゴム製のガーター&ブーツ、ソックスを履いている3月(モデル:ジョアン・スモール)と8月(サーシャ・ルス)、そして、起用された時にも話題になったプラスサイズ・モデルのキャンディス・ハフィンが、胸の部分だけ空いたゴム製のビスチェを着ている4月だ。ハフィンは他のスリムなモデルたちに引けをとらない洗練された存在感とともに、彼女たちにはない豊満な色気を存分に発揮している。

 今回のハフィンの写真によって、ファッションモデルは必ずしもスリムである必要はないということが証明されたと指摘するメディアもある。

 痩身モデルの社会的な悪影響が指摘されている昨今。世界的に人気な女性下着ブランド「ヴィクトリアズ・シークレット」が広告キャンペーンでスリムなモデルたちをバックに「THE PERFECT BODY(完璧な体)」というキャッチコピーを掲げたことに批判の嵐が巻き起こり、コピーを「A BODY FOR EVERYBODY(すべての体に)」に変更した一件も記憶に新しいが、そんな風潮を受けて、ファッション写真の最高峰であるThe Calが、女性の体型がファッションの束縛から解放される時代に突入したことを証明したのは評価されるべきことだ。

 さて、この写真集はいったいどこで手に入れることができるのか、と思っている方々もいることだろう。残念ながら、我々一般市民の手に入ることは、まずない。数量限定であることから、毎回、一部のセレブたちの中だけで品切れになってしまっているようなので、あしからず。
(文=ツジエダサト)