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【国際】

英皇太子の政治「介入」判断へ 王室の在り方議論

 【ロンドン=小嶋麻友美】英国のチャールズ皇太子(66)が閣僚らに宛てて政策に関する個人的な意見を書いた手紙をめぐり、最高裁判所は二十四日、公開すべきかどうかを最終判断する審理を始めた。政治不介入が不文律の英王室だが、皇太子は積極的な政治的発言で知られ、王室の在り方に議論が高まっている。

 手紙は二〇〇四〜〇五年、環境や教育など七省庁の大臣らと皇太子がやりとりした二十七通で、英紙ガーディアン記者が政府に公開を求めて提訴。政府側は「皇太子の将来の即位に深刻な影響を及ぼす」として公開を拒んできた。

 一二年九月と今年三月の下級審はともに「皇太子による政府への影響を知ることは公共の利益にかなう」などとして公開を支持。最高裁は二日間の審理を経て、近く結論を示す。

 英国王は国家元首だが、憲法や法律に政治的権限の定めはなく、伝統的に不介入の立場をとってきた。エリザベス女王(88)も政治的発言を避けてきたが、チャールズ皇太子はこれまで環境や景観、遺伝子組み換え食物など関心のある分野で積極的に考えを示し、慈善団体も運営している。

 最高裁判決を前にガーディアンは先週、皇太子に近い人物の話として、皇太子が国王になっても「誠実に介入し続ける」意向だと報道。王室と政治の関係や判決の行方が注目されている。

 擁護派の識者は「皇太子は伝統的な君主制を極めて理解している。ただ女王とは異なる人間であり、王室のスタイルは変化するだろう」とタイムズ紙で指摘。一方、王室制度に反対する市民団体は「活動家の国王は、民主主義社会には耐えられない」と批判した。

 

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