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橋下大阪市長 出馬撤回の理由は…公明“脅し”失敗

12・14衆院選「政怪ウオッチ」

演説する大阪市の橋下徹市長
演説する大阪市の橋下徹市長(左から3人目)。左は松井一郎大阪府知事
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 安倍晋三首相(自民党総裁)の掲げるアベノミクスの是非が最大の争点とされる12月14日投開票の衆院選。注目の選挙区などに焦点を当てルポする。第1回は維新の党共同代表の橋下徹大阪市長。公明党と対立する、看板政策「大阪都構想」実現へ向け、立候補をにおわせるも一転、不出馬を決めた。24日の街頭演説では「ベストの判断」と強調したが、「都構想実現のため協力を取り付けようと公明党を“脅す”目的だったが完全に裏目」と指摘する関係者の声も。橋下維新、都構想はどこへ行くのか――。

 阪南市など大阪府下4カ所でこの日、演説に立った橋下氏。公明党が前職を擁立する区での出馬を見送った理由に関し「これがベストの判断と思ったからだ。大阪のためになる。批判、反発を恐れたからではなく、この後の結果を見てほしいとしか言えない」と強調。ともに出馬を検討していた幹事長の松井一郎府知事も「大阪に軸足を置き、しっかり活動していく」とし都構想実現を目指し来春の統一地方選に全力を挙げると訴えた。

 2010年3月、当時府知事だった橋下氏と大阪維新の会が府と大阪市の二重行政を解消する目的で提唱した都構想。4年以上たった今も実現のめどは立っていない。維新にとって現在、必要なのは、かつて蜜月関係にあった公明の協力。当初、公明は協力姿勢だったが、府と市で設置した法定協議会で今年1月、橋下氏がいきなり5区分割案の集中議論を提案し、公明が反対に回ったため頓挫。その後、「民意の後押し」を目的に3月に橋下氏が出直し市長選を強行、反発した公明を含む他党が対立候補を出さず無投票で再選されたことで両党の蜜月関係も崩壊した。

 両党に詳しい関係者は橋下氏が出馬をにおわせた目的を「公明に都構想での協力を迫る“脅し”以外の何ものでもなかった」と説明する。検討していた3区は公明候補が1996年の小選挙区比例代表並立制導入以降、09年を除いて全勝している牙城の一つで、しかも立候補予定なのは当選7回、地元の大物で現職の佐藤茂樹大阪府本部代表。公明からすれば負けられない選挙区といっていい。それだけに「勝っても負けても出馬すれば全面対決になる。本音は話し合いをし、協力を取り付ける算段だった」が「公明から想定外の反発を食らい、完全に“裏目”に出たというのが本音だろう」と指摘する。

 党内の声に耳を澄ませば知名度のある橋下氏の出馬を「追い風」と期待する声があったのも事実。江田憲司共同代表はこの日、横浜市内で「残念だが都構想実現のため何がベストか総合判断した結果だ。それを受け止めたい」とした。党の大阪市議会、府議会、12年の選挙で府下で当選した衆院議員らからは「市長職の“投げ出し”批判を食らわなくて済む」との声も多く聞こえた。

 一方、公明では橋下氏の出馬見送りに安ど感が広がった。大阪や兵庫の小選挙区を最重点とする選挙戦を検討していたのが、比例代表も重視した従来の戦略で決着。党幹部は「率直に言って不出馬になりよかった」と胸をなで下ろした。

 行き詰まる都構想の実現に、衆院選での維新勝利も五里霧中。関西で自公に対する“最大の抵抗勢力”ともみられた橋下氏の出馬取りやめ。尻すぼみの感は拭えない。

 ▽大阪都構想 大阪市を解体して中核市並みの権限を持つ特別区に分割、大阪府とともに再編する構想。5区分割案は市内にある24区を5つの特別区に再編する計画。当初は7区案なども出ていたが、法定協議会で大阪維新の会が反対派委員を排除した上で決定。住民投票を経て17年4月の移行を目指しているが先月27日、大阪市議会、府議会はともに都構想の協定書(制度案)について公明、自民両党などの反対多数で否決。橋下市長と松井府知事は否決された協定書を、来年2月の両議会に再提出する方針。

[ 2014年11月25日 05:30 ]

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