「ニュースを斬る」

ヨーカ堂、「鳩マークなし」が再生の狼煙

セブン&アイが総力挙げる新モールが開業

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2014年11月25日(火)

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 セブン&アイ・ホールディングスが新たなショッピングモール「グランツリー武蔵小杉」を11月22日にオープンした。場所は、タワーマンションが立ち並ぶ東急東横線・武蔵小杉駅前。この地域に住む30〜40代の女性たちは、子育てにも仕事にも積極的でファッションにも感度が高いと、一部で注目を集めている。そんな彼女たちを主なターゲットに、セブン&アイが総力を結集し2年半の歳月をかけて開業に向けて準備してきた。オープン初日の開店前には約7000人が列を作り、その数はセブン&アイで過去最多。初日の総来場者数は約12万人と、順調な滑り出しとなった。

セブン&アイが11月22日にオープンした新モール「グランツリー武蔵小杉」には、初日の開店前に約7000人が列をなした

 総合スーパー「イトーヨーカ堂」を軸に、「赤ちゃん本舗」「タワーレコード」「フランフラン」「ロフト」など、セブン&アイ傘下の企業が勢揃いしている。さらに、セレクトショップの「トゥモローランド」や「ビームス」、ファストファッションの「ZARA」、「GAP」なども誘致。合計で160店舗が軒を連ねる。屋上には庭園を造り、中央の吹き抜けには天井から流れ落ちる高さ14メートルの“水の柱”で憩いの空間を演出するなど、同社のモール事業としては数多くの新機軸に挑戦している。

 その中でも特に異例なのが、中核店舗であるイトーヨーカ堂だ。同社を象徴する「鳩マーク」のロゴを、グランツリーの外側にも内側にも露出していないのだ。事実、イトーヨーカ堂の戸井和久社長は、「各フロアでイトーヨーカ堂色を出していないのが、グランツリーの特徴だ」と強調する。

「グランツリー武蔵小杉」の食品売り場。「鳩マーク」がなく、ここがイトーヨーカ堂であることは、見た目からは分からない

 実はそこに、セブン&アイがグランツリーに込めた狙いがある。逆説的だが、イトーヨーカ堂色を消しているところに、業績が低迷するイトーヨーカ堂の再生にかける覚悟がにじむ。


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