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超絶☆女装戦隊 男の娘★レンジャー 作者:アキラル

第二章 男の娘スキル向上委員会

2‐1‐4

……そういう訳である。アカギはヒーローになる約束をした手前、時間拘束のかかる芸能活動を自粛し、ヒーロー本部を訪ねたのだった。

 しかし、チャイムを鳴らしても誰も出てこない。アカギは首を横に傾げた。カチッ。ドアロックが外れた音。アカギは恐る恐るドアを開いた――

「確保ぉぉぉぉぉッ!」

「ひぃぎゃぁぁぁぁぁぁッ!」

 低い男の声。アカギは大きな虫取り網で捕獲され、素の叫び声をあげた。別の女性の影が、ブラインドを開き、薄暗い部屋に光が差した。そして、クラッカーが炸裂した。

「ウェルカムトゥオトコノコ本部!」

 さっきの佐山急便の人と紺のレディーススーツの男の娘マンだった。しかし、アカギはドッキリの驚きと羞恥心から泣き出した。

「ふぇぇぇん。なんで虫取り網なんですかぁぁッ?」

「おっと、失礼。レッドよ、歓迎の余興が過ぎたか?」

 佐山の男が、レッドと呼ばれた男の娘マンに話しかけた。レッドは虫取り網からアカギを救出した。

「ごめんねー。これ伝統歓迎式だから。よしよし、イイコイイコ」

 愚図るアカギの頭をレッドが撫でる。アカギは懐かしい手の感覚に落ち着き、涙を止めた。佐山の男は帽子をとった。流れるような切れ長の目、だが今日はメイクもなく黒色の短髪だった。間違いなく男の娘★レンジャーブルーである。

 ブルーはレッドとは違う低い男口調で言った。

「この子は演技者だろう。これくらいのドッキリで泣くとか、オレ聞いてないぜ?」

 アカギは全くブルーに気づかなかった。腕組みをしてふんぞり返るブルーを指差し、彼は言った。

「男の娘マンさん、この人ダレですか?」

 ズコーと新喜劇転けをブルーはした。レッドは「あはは」と曖昧に笑う。

「男の娘★レンジャーブルーさんだよ。彼は普段、佐山急便で働いているんだ」

 ブルーは立ち上がり、レッドを指差して言った。

「そうだ、オレがブルーだ。こいつは男の娘マンじゃなくて、ウサ……」

「止めようね。正義の味方が他人の悪口を言うの」

 怖い笑顔のレッドは、トラウマなあだ名をギリギリで阻止した。ブルーは煮え切らない顔でそっぽを向いた。アカギがレッドを見上げ言った。

「では、何とお呼びしたらよろしいですか?」

 男の娘補正プラス100のアカギの上目遣い。流石のレッドも引きつった笑みになる。

「う……そうね。私は男の娘★レンジャー初代レッドなの。とりあえず、今はレッドでいいわよ」

「はい、レッドさん。よろしくお願いします」

 アカギの笑顔が、レッドには眩しい。バルス効果だ。レッドは目を抑えた。アカギは書面の入った封筒をカバンから取り出して言った。

「ということは、ボクはレッドさんの後継者なんですね!」

「没シュート!」

 書面を封筒ごと、ブルーはアカギから没収した。そして本部の備品であるシュレッターで全て処分した。ショボーンとアカギが悲しそうな顔をする。

 ブルーは冷ややかに言った。

「事項3に基づき、書面及び封筒を破棄した。ヒーローとは時に非情である」

「ひ、ひどいです!」

「お前のことだから、額縁に入れて実家に飾りかねない。秘密文書はさっさと処分する。これはヒーローの鉄則だぞ」

「……わかりましたけどー。ボクはお姉ちゃんに見つかるような馬鹿なことをしませんよ。もう中学生ですしー」

 アカギのリアクションとブルーのやり取りを見て、レッドは腹を抱えて笑った。
「あはは、言うよねー。3代目イエロー以上になるんじゃないかしら」

 ブルーはレッドに笑われるのが嫌らしい。彼は拗ねて頬を膨らませた。

「うっせー、もういい。はい、話を進めるぞ。アカギ、お前は今、右手首にブレスレットをつけているな。それは本部や俺たち味方の男の娘と通信する機械だ。ただし、高いからゼッタイなくすなよ!」

「はい! でも、ボクは私服で戦えませんよ?」

 変身ベルトで華麗に衣装チェンジするのだろうか。興奮気味のアカギは、腰のベルトを見つめた。
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