日韓友好に取り組んできた長崎県対馬市の郷土史家永留久恵さん(93)が、平成24年に対馬市で起きた仏像2体の盗難事件に関する著書「盗まれた仏像」を出版した。仏像は倭寇の略奪品だとして、韓国には返還に反対する意見がある。永留さんは「交易でもたらされた品と考えるのが最も適切だ」と反論している。
根拠として、対馬島主らが真珠や水銀を贈るかわりに、高麗から仏像や経典を受け取っていた歴史を詳細に記した。盗まれた2体のうち、海神神社にあった国指定重要文化財の銅造如来立像が対馬にもたらされた時代は倭寇の登場よりずっと前と強調。略奪したとされる倭寇も高麗末期に関しては大半が高麗の住民で、対馬の島民らではないと指摘した。朝鮮王朝の正史「朝鮮王朝実録」の記述から分かると説明する。
「韓国でも『仏像は日本に返すべきだ』と主張する人は多く、本当のことを知ってほしい」と話す。