インターネット先生の次回作にご期待ください

140文字で書けたことをわざわざ長文に書き直すのですが。

十代後半の私がインターネットに繋がったころ、というのはもう18、19年くらい前になるわけですけど、今はなきインターネットマガジンで、これからは地方の時代、みたいな特集があったはずなんです。探しても見つからないけど。

だってインターネット、すごいでしょう。電子メールがあれば仕事でもプライベートでも誰とでもやりとりできるし、ネット通販で物も買えちゃうし、面白いウェブページはたくさんあるし、もうわざわざ都会に出ていく必要なんてないというか、高知あたりで消耗せずに炎上していたほうがいいというか。いざというときは電話することだってできるわけで。

えっ、今はビデオ会議システムってのがあるんですか? 暇潰しに世界中の動画も見られるんですか? 無料で? スマートフォン? 公衆無線LAN? GitHub? Slack? もう日本中どの都道府県のスタバでもドヤ顔しながら仕事して生活できるじゃないですか。え? みんな東京にいるんですか? ナンデナンデ?


私がむかし想像してたインターネットと違うな、と思うわけです。ニコラス・ネグロポンテが「アトムがビットになる! ビーイング・デジタル!」とか言うのを信じてたんですけど。だってみんなWIREDを読んで、攻殻機動隊とlainを観て、いつかは僕もデジタルな存在としてネットに融合できると思ってたわけでしょう。ところが蓋を開けてみると、むしろアナログな現実社会がデジタルを飲み込みつつある。WIREDは中年向けのファッション誌になってる。

メリッサ・メイヤーは自宅勤務をするなと言うわけ。ポール・グレアムは投資するスタートアップをわざわざ狭いシリコンバレーに集めるわけ。フェイス・トゥ・フェイス・コミュニケーション! ネットワーキング! コネ! 日本のIT企業は六本木や渋谷に集まり、アメリカでは次のシリコンバレーは大都市サンフランシスコだとか言われてる。ミートアップ! 飲みにケーション! おつかれさまです!

私、そういうアナログさが嫌でインターネットに来たわけですけど。だってコミュニケーションや人脈がそんなに重要なら、生まれたときから勝ち組と負け組があるわけじゃん? インターネットって、そういう格差をリセットするものだと思ってたわけですけど。


愚痴るつもりはないです。たぶん。ただ、いつかデジタルがアナログを飲み込んでいくという、今となっては恐らく間違っていた理念だけは忘れずにいたい。「会って話すのが一番だよ」とか「デジタルデトックス」とか「旅に出よ」とかは言わずに死にたい。ネット世代の人間が年を食うなり突然「経験値が重要」「場数を踏め」みたいなことを言うのは本当に恥ずかしいことじゃないですか。そのアナログデータをデジタル化して次世代に残すのがお前の仕事だろうが。

まさかウェブ2.0がウェブの終わりで、ユーザージェネレイテッドコンテンツがまとめサイトのマネタイズで行き止まりになるとは思ってなかったですけど、インターネットのどこを向いても群衆の叡智はどこへ消えたんだって話ですけど、それでもこれからデジタルの巻き返しがあって、頑張れば私が死ぬころにはネットの海を彷徨えるかもしれない、と思いながら今日もネットを巡回する。みんなテレビと芸能人、予測変換の話をしている。


僕たちのインターネットはまだ始まったばかりだ!

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