プロローグ ~お約束のトラック事故~
「あーー、セックスしてぇー」
そんな事を呟きながら、齢17歳の少年は深夜の国道を自転車で疾走していた。
彼の高校生活は悲惨の一言だった。
友達は一人もおらず、チョロインの幼馴染……そんな伝説上の生物も知り合いにはいない。
成績も運動もダメ。まあ、そんな感じで一言で言うと暗い青春を歩んでいる。しかし、彼は青少年だ。
性欲だけは一人前には……ある。
と、いうことで、今現在はレンタルビデオ店の帰り道。
兄の会員カードを財布から勝手に借用した彼の鞄には、前々から気になっていったエロDVDが詰まっていると言う状況だ。
その題名は――
・ロード・オブ・ザ・チ〇コ~王の巨根~
・マラーポッターと尿結石
・デブスの練炭術師
・etc……
酷い題名ばかりだったが、共通している内容が一つある。
元ネタが全て中世ヨーロッパ風のファンタジーということだ。
エルフ耳の姉ちゃん、あるいは獣耳の少女、あるいは……吸血ロリババア(合法ロリ)。
そのエロDVDには少年の夢が詰まっていた。
「あーー、セックスしてぇー。最強チート状態で異世界転生して、ハーレム造りてぇー」
心の叫びと共に、彼は夜の闇を疾走する。
そこでお約束は起きた。
つまりは、赤信号、飲酒運転、時速85キロ、深夜2時で視界最悪ーー
――数え役満状態で、少年の駆る自転車に20トントラックが突撃してきたという次第だ。
突然のお約束、必然の衝突。
キリモミ回転を行いながら、30メートル程度宙を飛ぶ。
そして電柱に激突。薄れゆく景色の中で少年は思った。
「……ぁーーー、セックス……してぇ……エルフ耳の金髪の……お姉さん……」
自転車の前カゴに収納されていた彼の鞄からエロDVDが散乱する。
――こうして、斎藤勇気17歳は日本での生涯を閉じた。
そして20分後、近隣の交番の警部補と巡査が死亡事故の現場検証に訪れた。 彼らは現場に散らかったエロDVDと凄惨な事故現場に呆気にとられる。
「笹原警部補……これは……」
巡査が手に持ったDVDのタイトル。
ギリギリモザイク:神聖リンダール帝国最後の性戦 ~馬とエルフ~
パッケージでは、金髪のエルフの姉ちゃんが、馬を抱きながら微笑んでいる。
コクリと頷き、警部補は言った。
「……とてもハードだ。ご両親にどう説明をしていいか分からない……」
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