驚異の性のコレクター・九十九黄人「東洋民族博物館」【奈良】:日本珍スポット100景

トップページ 珍スポット新着記事 都道府県別珍スポット 月別・珍スポット
日本珍スポット100景-B級スポット観光ガイド-

驚異の性のコレクター・九十九黄人「東洋民族博物館」【奈良】

2013年05月02日
【カテゴリ:関西:奈良】| コメント(1) | |

私の尊敬する九十九黄人氏


東洋民族博物館
君は九十九黄人(つくもおうじん)という偉人を知っているかい? 明治27年兵庫県生まれの御大は、まだ海外旅行が一般的でない時代に一人で世界各国を調査し、珍しい文物を収集した民俗学者&探検家&収集家。平成10年に103歳で亡くなるまで自由奔放に、奇妙奇天烈に生きた人物です。

黄人氏の4000本の陰毛コレクション


東洋民族博物館
黄人氏を(局所的に)有名にしたのは、あるコレクション。それはなんと女性の陰毛。その数4000本! 一本一本をきちんとスクラップブックに貼り付け、女性の名前、年齢、職業などを明記したラベルで分類したという凄すぎる蒐集物です。写真は今回念願叶って黄人氏の陰毛コレクションも見せていただいて、感激しきりの管理人。

博物館はモダンな洋館の建物


東洋民族博物館
やってきました奈良県奈良市の「東洋民族博物館」。ここは九十九黄人氏が昭和3年に設立した私設ミュージアムです。ルネッサンス風の建物は当時最先端の洋館。窓にはステンドグラスがはめ込まれ、屋根には強化ガラスが張り巡らされているスーパーモダンな作りです。今回は黄人氏のご子息で、理事長をなさっている九十九弓彦さんに展示物の解説をして頂きました。

黄人→エロマン?


東洋民族博物館
さきほどから「九十九黄人」と御大をお呼びしているのですが本名は「九十九豊勝」さん。黄人氏はお固い柳田國男よりも自由な南方熊楠の方がお好きで、民俗学研究においては特に性崇拝に興味があったようです。黄人という名前は、エロい人→エロマン→イエローマン→黄色い人というシャレでつけたもの。なるほど人を喰った御仁です。

人類学者スタール博士と共に旅


東洋民族博物館
黄人氏は独学で英語、朝鮮語、ドイツ語を身につけ、アメリカ人人類学者のフレデリック・スタール博士の通訳兼助手として日本国中を共に旅しました。この写真は庭にあるスタール博士の彫像。博士和服姿で各地の神社を訪れてお札を集めたところから「御札博士(おふだはかせ)」と呼ばれて親しまれていたんだとか。スタール博士は、『菊と刀』のベネディクト女史の先輩にあたる、日本文化の研究家なんですよ。

世界中を旅してコレクション


東洋民族博物館
黄人青年はその後世界各国を単独で調査。モンゴル、中央アジア、東南アジア、南米──。あちこちで集めた民俗資料の主なテーマはもちろん「性」。時代が早すぎたのか、権威主義的なアカデミズムの世界で浮いてしまったのか、民俗学の本流に乗ることはなかったのでした。この孤高の天才民俗学者っぷり、たった一人で世界中を旅する冒険家っぷり、あなたの琴線をビシビシかき鳴らしているのではないですか。

陳列ケースそのものも骨董品


東洋民族博物館
館内に入って思わず声をあげてしまいました。物、物、物! 世界各国の珍奇な骨董品がそこかしこに並べられています。そして陳列ケースの美しさといったら! このケースは創立当時から80年以上も使われているものだそうですよ。陳列ケースそのものも骨董品です。

コレクション1:絵馬


東洋民族博物館
では具体的にコレクションを見て行きましょう。こちらは絵馬。日本国中から集めた古い絵馬が壁にたくさんかかっています。絵馬が神社に奉納されるようになったのは平安後期から鎌倉時代ごろといわれています。

元々は生きた馬を献上


東洋民族博物館
絵馬はもともと生きた馬を献上するかわりに、馬の絵を描いた板を奉納したのが始まりです。他にも干支の動物が描かれたりしていましたが、明治以降は様々な絵柄の絵馬が流行しました。

おわんにムカデ!?


東洋民族博物館
こちらはおわんにムカデを入れて食べている女性の絵馬。うう、気持ち悪ぅ。これはダジャレになってまして、ムカデは足が多い、つまり「お足が多い」にかけているんですね。何のことか分からないお若い方もいらっしゃるかな? 「お足」とは、足が生えているみたいに行ったり来たりするから「お金」のことを指すんですよ。お金に困らないようにって願い事が込められてます。

離婚祈願絵馬


東洋民族博物館
これは離婚祈願の絵馬。大正時代のものです。昔は神様にお願いしなければなかなか離婚が成立しなかったのだなあとしみじみ。

コレクション2:纏足


東洋民族博物館
これは中国の纏足(てんそく)の靴。纏足とは漢民族の女性の習慣で、子供の頃に足を折って縛り、小さくなるように矯正した人体改造。美しい纏足のことを「三寸金連」と言いますが、本当に10センチ足らずの小ささです。ちっさ! 纏足の作り方は詳しくは「幻想画廊」の「纏足」というページに書きましたのでご参考まで。

コレクション3:チベット人形


東洋民族博物館
チベットの人形です。この人形は舌を出してあっかんべーしてますよね。チベットでは敬礼するときに舌を出します。つまり「あなたには嘘は言いませんよ」という忠誠を表しているんです。そして手の平を見せて「私は裏表はありません」とジェスチャー。チベットで舌を出されても、手をヒラヒラされてもバカにされているわけではありません。

コレクション4:パラオの石貨


東洋民族博物館
これは太平洋の島、パラオで使われていた石のお金。大理石でできていて穴に丸太を通して運んだといいます。持ち上げさせてもらったのですが結構な重さでした。こりゃ不便だなあ。現代はおサイフ携帯で軽々持ち運びできるのにね。

コレクション5:ミイラの男性器


東洋民族博物館
当ブログの読者的にはこちらの珍品がお好きなのでは? 5000年前のチリのミイラの男性器です。「ミイラのチンコ」という身も蓋もないラベルが実に清々しくていいですね。リマ博物館から寄贈された貴重品です。黄人氏の言によると、ミイラまるごと一体の提供を受けたけれど持ち帰ることができなかったので局部だけもらったとのこと。頭部とかでなく局部ってのが黄人氏らしいです。

コレクション6:昭和天皇のお箸


東洋民族博物館
皇室関係ではこんな逸品も。なんと昭和天皇陛下ご使用のお箸! 実際に陛下がお使いになったものを女官から頂いたのだとか。なんかやくみつるみたいだな、黄人氏。

コレクション7:珍品クイズのブツ


東洋民族博物館
九十九理事長が民俗資料クイズを出してくださいました。これなーんだ? 答えは岡山県美作地方の「花嫁の尻叩き」。村に来た花嫁さんのお尻を村の若者が叩くための道具です。お尻を叩かれた女性はたくさん子どもを生むという言い伝えがあるんですね。この形、精子の形に似てますね。偶然かしら?

憧れの秘宝コレクション「森羅萬象窟」


東洋民族博物館
そして九十九理事長のご厚意により、黄人氏の性関係のコレクションが集められた「森羅萬象窟(しんらばんしょうくつ)」という秘密のお部屋も見せていただきました! 残念ながら写真はNG。春画、陰陽石、チンマン系のエログッズが所狭しと並んでいました。

中でも目を見張ったのは、性関係の稀覯本(きこうぼん)です。なんとカストリ雑誌の代表格『あまとりあ』が創刊号から全巻そろっているのです! 全巻を初めて見ました。手が震えました。これらの稀覯本は大学の関係者や図書館関係者から何度も譲って欲しいと言われるそうです。そりゃ、そーだろ。

黄人氏の最後の言葉


東洋民族博物館
黄人氏は1998年に103歳で大往生されました。これは亡くなる直前に紙に鉛筆で書いた、最後の言葉。「goodby」。なんて格好良い御仁でしょうか。ああご存命の時にお会いしたかった。そして私の陰毛を献上したかった(いらんわ!)。

※……読者のカルロスさんからご指摘がありました。氏の最後の言葉は、英語のgoodbyではなく、ドイツ語のGod gem(神の思し召しにしたがって)ではないかと。確かにそう見えますね。ドイツ語に堪能だった黄人氏ですから十分考えられます。どちらなのか黄人氏亡き今となっては分かりませんが、こんな謎も残してくださる黄人氏は本当に粋な方ですね。あなたはどちらだと思いますか?

入り口の珍品もお見逃しなく


東洋民族博物館
最後に博物館の入り口にあるちょっとユニークなものをご紹介します。「吾唯足知(われ ただ たるを しる)」 。龍安寺のつくばいで有名な禅の言葉。「現状で満足することが満ち足りた豊かな心につながる」という意味。でも黄人流では「舌吸足知(した すって たるを しる)」。意味は──まあ言うまでもないですね。黄人翁っておちゃめ!(2013年02月02日訪問)【麻理】

「日本の文化研究」をもっと知るための一冊


菊と刀 (講談社学術文庫)菊と刀 (講談社学術文庫)
ルース・ベネディクト 長谷川 松治

講談社 2005-05-11
スタール博士の方がずっと早く日本に注目していたのに、後輩のベネディクト女史の方が有名なのは、やっぱスタール博士もアウトサイダーな学者だったからなのかな。でも青年・黄人氏との二人旅は珍道中できっと楽しかったろうな。


「スーパーコレクター」の珍スポットレポート


 これぞヴンダーカンマー!「つやま自然のふしぎ館」【岡山】
 収集魂!スーパーコレクター「日本土鈴館」【岐阜】
 館長と奥様の二人三脚博物館「日本独楽博物館」【愛知】
 蒐集家の夢・MY博物館「犬山焼徳利盃館」【岐阜】
 ゾウ大好き人の素敵コレクション「恵那象園」【岐阜】


より大きな地図で 関西:奈良 を表示

東洋民族博物館
住所:奈良県奈良市あやめ池北1-5-26
電話:0742-51-3618
時間:不定期
定休日:不定期(※必ず電話してから訪問のこと)
入館料:大人500円
駐車場:無料1台のみ
関連URL:朝日新聞デジタル:【東洋民俗博物館】ウフフ わしゃピンクや - 関西

管理人のツイッター(https://twitter.com/IgarashiMari)

スポンサードリンク

注意事項

注意事項
……というのは珍スポットではよくあること。上の情報は記事掲載後に変更されている事があります。お出かけの際は事前にご確認ください。

現在の情報については管理人はお答えすることができません。万が一上の情報に基づくトラブルが発生した場合も責任は負いかねます。

もし「もう閉鎖されたよ」「時間が変更されてた」などの情報がありましたら、早急に修正いたしますのでコメント欄かメールフォームにてお知らせください。あなたの情報が珍スポット(と管理人)を救う!
ブログパーツ
Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

最近の12記事

コメントを書く
最近の記事でなくても感想・情報・観光報告など大歓迎です。
コメントは管理人の承認後に表示されます。しばらくお待ちください。
お名前

メール(ブログには非表示。管理人のみに表示)

コメント(右下端をドラッグすると枠を大きくできます)

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
再度の立ち寄りにて失礼!、4000本より管理人さんの1本の方が男性読者(私)にすれば値打ちもの(過去の娘さんより)なのでは・・・。ミイラの○○は見るものでは有りませんね そうかと言っても法律がありますから 生の写真はNGだし・・・ それにしても 管理人さんの心は読めません ←それが良いのかも?。
トラックバック
当ブログへのリンクがないトラックバックは記事に表示されません。