全世界で2億5000万枚という驚異的なセールスを誇るピンク・フロイドについて、どんなイメージを持っていますか? 「全作品が経典の神バンド」「プログレはとりあえずキング・クリムゾンとピンクフロイドを聴けばOK」「シド・バレット期は最高だけどそれ以外は興味ない」「ピストルズにバカにされていた人たち」「やたら大仰かつ冗長な音楽」といった具合に、おそらく世代や通ってきた音楽で好き嫌いが分かれることでしょう。
ただ、おそらくは「聴いてみようと思いつつ聴いてない」といった感じの、なかなか手を出せていない音楽ファンも多いのではないでしょうか? そこで今回はクイーン、U2に続き、フォトグラファー久保憲司さんによるピンク・フロイドのベスト10をお届けします。20年ぶりの新作『永遠(TOWA)』も話題ですが、まずはこちらをどうぞ!(編集部)
1. シー・エミリー・プレイ
女装好きの下着泥棒を歌った彼らのファースト・シングル「アーノルド・レイン」もいいですが、音の凄さはこちらでしょう。不滅のサイケ・ポップ・ナンバー。
2. 星空のドライブ
これこそがサイケデリックだと言えるナンバー。クリストファー・ノーランの映画「インターステラー」で話題の恒星間航行(インターステラー・ドライブ)、こちらはインターステラー・オヴァー・ドライブ、恒星間航行を超える旅に連れていってくれます。
3. コンフォタブリー・ナム
今も昔も、80年代から続く“満たされた若者のやるせない気持ち”を代弁している一番の曲といえばこれ。現代のポップスのルーツがパンクじゃなく、ピンク・フロイドだというのはどうかと思いますが、仕方がないです。
4. ユージン、斧に気をつけろ
よく分からないくせに壮大なものすぐにクラシックだという人はどうかと思いますが、交響曲のような重さがこの曲にはあります。このサイケな感じがカンを通過して、ポスト・ロックになったということを考えればピンク・フロイドはポスト・ロックの祖父でもあるんですよね。
5. エコーズ
水がポタ、ポタと落ちるようなリズムに、やさしく覆いかぶさっていくヴォーカル、これもまたサイケなのだ。ディヴ・ギルモアのリード・ギターも美しい。
6. 『原子心母』のジャケット
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このジャケットの目の前に牛がドーンといる感じもサイケだ。これがなんでサイケなのかわかる人にはわかる。アシッドをやって、朝気づいたら、牧草地にいて、牛が君を見ている。こんな笑う体験がサイケなのだ。
7. 吹けよ風、呼べよ嵐
ピンク・フロイドはヘヴィーな曲もヤバい。むちゃくちゃかっこいいベースですが、ブッチャーが登場するとしか思えなくなったのは悲しいです。
8. マネー
この曲もベースがかっこいいですね。人間はなぜ気が狂ってしまうかを考察したアルバム『狂気』からのキラー・チューン。
9. あなたがここにいてほしい
ピンク・フロイドには切ないナンバーも多いんです。その代表作がこれ。気が狂ってしまったメンバーのことを思って作ったアルバム『狂気』がミニオン・セラーになって、レコード会社との軋轢に悩むようになった彼らは気が狂ったメンバーに「君がいてくれたら」と歌う、涙なしでは聴けないナンバー。
10. バイク
気が狂ったメンバーが作った曲。「君にこのバイクをあげたいんだけど、あげれないんだ。借り物だから。」子供が作ったようなたわいない歌だけど、どこか壊れている感じがします。こんな歌を20過ぎの大人が作るだろうか、もうすこしおかしくなってたのかなと思うと涙なしでは聞けない。シド・バレットの曲の魅力は無垢さにあった。それがサイケデリックでもあったんだけど、狂気とも紙一重だったのかなとも思う。
(久保憲司)