【書評】なぜ、仕事が予定どおりに終わらないのか? ~「時間ない病」の特効薬!タスクシュート時間術
とても地味で冷静な、自己啓発的な気合を要するものとは真逆の時間術を紹介・説明しています。
上手く時間が使えないことに悩んでいるひとにはおすすめ。
よくある時間がないと感じる以下4つの症状を分析。
・ムダに出来る時間がほとんどないことに気づかずに、時間をムダにしている
・割り込み仕事や他人からの頼まれごとが入ると、ついそちらを優先してしまう
・いつも意識だけはしているのだが、手を付けるのが面倒で、先送りを繰り返す
・完璧な成果を求めすぎて、90%の時間で10%しか終わらない
これらの解決方法として、予定を目に見えるかたちで把握する「タスクシュート」型の管理方法を紹介しています。
本当に「あるある」と思う症状ですが、それだけ対処しづらい悩みでもあります。
これらに特効薬となる方法がある!というと逆に疑いたくなるくらいです。
著者の紹介している「タスクシュート」型の時間術も、やはり即効性が派手にあるような方法ではありません。
「休憩まで含めて、あらゆる時間帯をシミュレーションし、ログを残していく」(chapter2末尾)という、
とても地味で(一見)手間がかかる(ように)見える方法です。
しかし、この手法が(地味ながらも)確実に効果を生む理由も本書内できちんと説明されています。
割り込みや先送り、完璧主義と言った方法への対処も、同じように丁寧な説明がされています。
冒頭を読んだ際には「なんでこんな細かいことをしなくちゃならないんだ?」と感じる気持ちは、
本書を読み終わったあとでは、「細かいけど…そうするのがいい理由はちゃんとあるんだなー」というくらいには感じられると思います。
本書では、「Taskchute」という時間管理ツールそのものと、「タスクシュート」というツールの作りの裏にある思想を、分けて紹介しています。特にツールの思想の説明に注力しており、もしツールそのものを使わないとしても、思想部分の説明でも十分役立ちます。
私自身は、著者の本を以前から読んでおり「タスクシュート」的な時間管理のやりかたを2年ほど続けています。
一番良かったことは、「見通しがつくから安心して仕事に取り組める」ことが、精神衛生上非常にいいことですね。
仕事が(少しは)早くなる、見通しが(一応にせよ)立つように成る、という実感もあります。
読みやすい文章で、抵抗なく読めると思いますので、まずはとりあえず読んでみることをおすすめします。
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