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「友達作りに必要なもの——それは演技力だ」ライトノベルの心震える名言集

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2014.11.23
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左から『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』ガガガ文庫/『ロウきゅーぶ!』電撃文庫/『僕は友達が少ない』MF文庫J/『C3 ─シーキューブ─』電撃文庫


 人々の心に感慨と感嘆を与える言葉を集めた「名言集」。歴史上の偉人や芸能人、政界人、アニメにマンガ、果ては史上まれなる凶悪犯罪者の名言をまとめたものまで、その種類はさまざまだ。そんななか、ついにこんな変わり種名言集まで登場してしまった……。

 それは、『ラノベが教えてくれる仕事で大切なこと 萌えよ!日常 明日を良くする知恵と勇気と力をくれる名言45』(市川スガノ/こう書房)。これはいわゆるライトノベルの作中で、登場キャラクターが口にした名言をまとめたものだ。しかし、タイトルの仰々しさが虚しくみえるほどに“ラノベなんて読むのは子どもかオタクくらい”という意見が大多数だろう。そんなラノベから名言など生まれるのだろうか? まずは、同書に載っているものからいくつかピックアップしてみよう。


●「年季だけが強さじゃねえ。若者には若者の強みがあるぜ」

 6人の勇者たちが集うと予言された世界。ところが現れた勇者は7人もいて、誰が偽者の勇者なのかはわからない──というファンタジー作品『六花の勇者』(山形石雄/集英社スーパーダッシュ文庫)から。若さ故に実力を侮られた主人公が、咄嗟に切り返した台詞だ。


●「死んだのならば、死んだなりの生き方がある」

 これは『犬とハサミは使いよう』(更伊俊介/ファミ通文庫)の台詞。同作は読書狂の主人公が強盗に襲われ死んでしまったものの、なぜか犬として生まれ変わり、しかも人気の美人作家の飼い犬になってしまうという奇想天外な設定のラブコメディだが、この台詞は主人公が犬として生きる覚悟を示したものだ。


●「大事なのは『なにをやりたいか』だろ?」

 魔族に対抗する魔法使いの学園で、規格外な力を持ちながらも事情により劣等生として暮らす主人公の日々を描いたバトル小説『黒き英雄の一撃無双』(望 公太/HJ文庫)に登場した一言。


 どうだろう。実は、この本に載っているのは、こうしたアツ(苦し)い言葉のオンパレードなのだ。意外かもしれないが、「オタク」界隈の人々に親しまれているラノベだからこそ、直接的な言い回しや普通に聞いたらちょっとクサく感じるような「格好いい」台詞を、自然と忍ばせることができるのかもしれない。そういう意味では、困難に直面した時に自分を勇気づけたり、勉強や仕事でやる気を出すために使える言葉は、ラノベのなかに結構あるといっていいだろう。

 しかし! これらは残念ながらラノベのほんとうの素晴らしさを伝えているとはいいがたい。同書の名言のセレクトは「仕事に役立つ」という視点に立っているからか、どうも経営者や偉人の名言と大差ない気がするのだ。2014年現在、出版されているライトノベルは10,000作品以上ともいわれている。もっとこう、ラノベならではな、ダイレクトに心に響く金言があるのではないか。

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