小児臓器提供:親の喪失感に留意必要

毎日新聞 2014年11月23日 23時19分(最終更新 11月24日 10時30分)

 2010年の改正臓器移植法施行後に可能となった15歳未満の小児からの臓器提供。今回実施されても6例目と限定的だ。特に、6歳未満の小児に限ると、1例しか行われていない。年間約300人の小児が心移植を受けている米国とは大きな差がある。

 日本で小児からの臓器提供が広がらない背景について、子どもを亡くした親の精神的な喪失感が大きいとする移植関係者の意見がある。また、法律に基づいて虐待の有無を調べられるため、「その負担感も影響しているのではないか」と指摘する声もある。

 そもそも、小児からの臓器提供が求められるのは、ドナー(臓器提供者)から心停止後の提供でも対応可能な腎臓と違い、心臓が脳死したドナーから提供を受けるしかないからだ。さらに、肝臓や肺のように分割できないため、体格が近いほぼ同じ年齢の人からの提供に限られてしまう。

 今も、臓器を求めて渡米する小児は多く、その家族の負担は1億円規模と言われる。記者会見した臓器移植ネットワークは「提供してくれた家族の重い決断を、一つ一つ積み重ねる必要がある」と語った。【河内敏康】

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