アベノミクス:景気、期待か実感か 与野党が有権者に訴え

毎日新聞 2014年11月23日 22時24分(最終更新 11月24日 01時22分)

各党政策責任者らのアベノミクスに関する発言
各党政策責任者らのアベノミクスに関する発言

 与野党の政策担当責任者らが23日、NHKの討論番組で、雇用政策や財政問題をめぐって意見を戦わせた。与党側は、安倍政権の経済政策「アベノミクス」で雇用・賃金は改善傾向がみられ、路線継続でさらなる成果が期待できると主張。これに対し、野党側は、実質賃金は逆に下落し、経済成長は滞っているなどとして、生活実感の悪化を訴えた。

 「(アベノミクスは)道の方向性が全く間違っている。実質賃金が下がるということは生活が苦しくなっているんです。重大な問題なんですよ」

 共産党の小池晃政策委員長は語気を強めて、自民党の稲田朋美政調会長に詰め寄った。稲田氏は「分かっています」と切り返した後、「賃金と雇用が一番大事だ。名目賃金はかつてないほど伸びているが、実質賃金は追いついていない。まだ道半ばということだ」と認めざるを得なかった。

 政権側には消費増税の先送りを決めた弱みがある。景気回復が十分ではないことは与党も否定できず、野党はそこを攻撃する。

 政権側の反論の切り札は景気低迷が続いた民主党政権時との比較で「良くなっている」と訴えることだ。「民主党時代に戻るのか」という問いかけは経済の分野でも選挙戦で有効に働くと見る。

 稲田氏は、マイナス成長となった7〜9月期の国内総生産(GDP)について「(今年4月に)消費税を上げた大きな影響があった」と認めた。そのうえで「民主党政権は最後の3四半期連続でマイナスだった。今回は何もしないでマイナスではなく消費税を上げてのマイナスだった」と強調し、民主党政権時との違いを強調した。

 ただ、民主党政権時には、リーマン・ショック後の世界同時不況や東日本大震災など外的要因もあった。民主党の福山哲郎政調会長は「民主党政権の発足後5期連続でプラス成長を果たしたが、東日本大震災が起きた。今回の景気失速は2期連続マイナス成長で、それを経済はうまくいっているというのは矛盾だ」と反論した。

 与党側は、安倍政権下で女性80万人を含む100万人の雇用を創出し、賃上げ率も過去15年間で最高の2%を記録、倒産件数も2割減少したなどと主張。アベノミクスを継続すれば「さらに良くなる」と期待に訴えかける戦術だ。

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