増税延期:影響大、連動の税制改正見直し 法人減税圧縮も
毎日新聞 2014年11月24日 08時30分
安倍晋三首相が、消費税率の引き上げ時期を1年半延期すると決めたことを受け、2015年度の税制改正作業は大きく見直される。車を買う時にかかる自動車取得税(地方税)の廃止や、自治体間の税収格差を緩和する新制度の導入など、再増税と連動する制度改革が先送りになるためだ。増税見送りに伴う財源不足の穴埋め策として、15年度の法人税率引き下げ幅の圧縮を検討する可能性もある。【横田愛】
自民、公明両党は昨年末にまとめた14年度税制改正大綱で、消費税率を15年10月に10%へ引き上げるのと同時に自動車取得税を廃止すると明記。購入価格の3%分を負担する取得税(自家用乗用車の場合)に加え、消費税が課されており、自動車業界から「二重課税」との批判があったためだ。
取得税廃止で地方財源に穴が開くことに対しては、購入時に燃費性能に応じて課税する新税の導入を検討していた。エコカーの普及促進を図る狙いもあったが、消費増税の先送りで新税を巡る議論はストップ。取得税は16年度末まで継続されることになった。
同じく15年度の税制改正項目から外れるのが、自治体間の税収格差を調整する仕組みの具体化だ。消費税の一部は「地方消費税」(消費税率10%時で2.2%分)として自治体に配分され、消費の多い東京、大阪など都市圏ほど多くの財源を得る。政府・与党は、消費税よりもさらに自治体間の偏りの大きい地方法人税について、いったん国が受け取り、税収の少ない自治体に回すなど、新たな仕組みを導入する考えだった。これも先送りとなる。
政府・与党は、企業の所得のうち、国と自治体に払う税金の割合(法人税の実効税率=標準で34.62%)を「数年で20%台に引き下げる」と決めている。これまでの調整で、赤字法人への課税強化などにより、2%台半ばの税率引き下げに必要な代替財源の確保にめどをつけ、宮沢洋一経済産業相は引き下げ幅を「15年度から2.5%以上」と表明していた。
だが、再増税の延期で、15年度は約1.5兆円分の税収がなくなる。さらに首相は、消費増税に伴う社会保障改革の柱である「子ども・子育て支援新制度」を予定通り来年4月から実施すると明言。財源の手当ては「首相が『知恵を出せ』と財政当局に指示をした」(菅義偉官房長官)段階で、「財源作りのため、税率の下げ幅を小さくすべきだ」との議論も起きそうだ。